「グレース・ケリーが乗った個体という話もあります。実際のところは不明ですが」とオーナー|旧車と夢の詰まったガレージ【3】

2階のLDKスペース。友人を招いて自らいれたコーヒーを楽しんだりといった使い方をしているが、最近では奥さまとお孫さんが遊ぶためのスペースとして使われることが多いという。奥はソファベッドが置かれた寝室。

【旧車と夢の詰まったガレージ vol.3】

増えた車両の中でもシトロエン・トラクシオン・アバンの来歴はユニークで、新車で購入した福岡県のオーナーが、60年代からおよそ50年間に渡って、富士自動車という自動車販売店に展示車両として貸していたという個体。

数年前に同社がヤナセになったタイミングで息子さんが受け継ぎ、不動状態からレストアしたものの、手放すことになり、オーナーが福岡まで出向いて現車確認して引き取ったという。

「お前の持っているクルマには統一性がない、とよく友人にも言われます(笑)」と自身が語る通り、ガレージに収まるクルマたちは国も年代もバラバラだ。

しかしいずれもクルマ仲間から紹介され、ほれ込んだことで手に入れたくなったクルマであることに違いはない。人の縁とクルマとの縁によって誕生したのが、このガレージの中の景色というわけだ。

取材を通してオーナーの口からは、希望通りのガレージにできなかった話、それぞれのクルマのレストア時の苦労話など、グチのようにも聞こえる苦労話が次々と飛び出すが、その表情は心から楽しそうであり、クルマとガレージライフを本当に楽しんでいる様子を見て取ることができた。

【画像22枚】国も年代もバラバラだが、ほれ込んで手に入れたクルマたち。クルマ仲間が増えるきっかけのポルシェは、長年乗り継いできている。赤色好きの角田さんだけに、以前は赤い911カレラに乗っていたが、取材当時はボディが黒、内装が真紅の911ターボを所有


>>左ハンドルのS800M。年式としては68年式だが、車両番号やエンジン番号等を追っていくと、70年以降に生産され、モナコに送られたモデルらしい。「グレース・ケリーが乗った個体という話もあります。実際のところは不明ですが」とオーナー。


>>クルマ関連の書籍がディスプレーされたテーブル。


>>ミニカーの置かれた棚や写真が飾られた壁面だが、少しずつお孫さんの玩具に侵食されているようだ。




初出:ノスタルジックヒーロー 2019年 6月号 Vol.193

(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)


旧車と夢の詰まったガレージ(全2記事)


関連記事:旧車の棲むガレージ



【1】【2】から続く

photo:Ryota--Raw Shimizu/清水良太郎 Illust: Masaki Takanashi/高梨真樹

RECOMMENDED

RELATED

RANKING