当初量産化されるはずではなかった、あの巨匠デザインの1台|1969年式 いすゞ 117クーペ【1】

奇跡の美しさを保つハンドメイドタイプⅠ

       

【イーネ!いすゞ 1969年式 いすゞ 117クーペ vol.1】

1968年12月に発売開始された117クーペは、当初量産される予定のなかったクルマだ。

 イタリアのカロッツェリアであるカロッツェリア・ギア社に在籍していたカーデザイナーのジョルジエット・ジウジアーロがデザインした「ギアいすゞ117スポルト」は、66年3月にスイスで開催されたジュネーブショーで初披露され、コンクール・ド・エレガンスで優勝。当時いすゞは、あくまでコンセプトモデルであり、市販化する予定はないと発表していた。

 しかし、いすゞの予想に反して市販化を求める声がわき起こり、量産化が検討されることになる。実は、これらのムーブメントをしかけたのはギア社と言われている。

 ギア社と同じくイタリアのカロッツェリアであったベルトーネ社在籍中に黄金時代をもたらし、ギア社のチーフデザイナーとして迎えられたばかりのジウジアーロが大きく飛躍するキッカケとなったのが66年のジュネーブショー。そこでさらなる名声を手に入れたのだ。ちなみに、その2年後の68年に「イタルデザイン・ジウジアーロ」を設立。L40キャリイバンをはじめ数多くの国産車を手がけることになるのは、読者の皆さんもよくご存知のことだろう。

【画像20枚】巨匠ジウジアーロがデザインした117は、当初はコンセプトモデルとして作られ、量産化される予定はなかった。


>>ボディラインが波打つことなく流麗。ISUZU SPORTSの高いレストア技術の成せる技だ。


>>バンパーの上にウインカーが設置されたハンドメイド顔。ジュネーブショー出展モデルのグリル中央には、ひらがなでいすゞと入った同社の小判形エンブレムが装着されていた。


>>リアランプも同じくタイプⅠ以降のハンドメイドのものを使用。サイドウインカーも同様。


1969年式いすゞ117クーペ(PA90)

●全長4280mm
●全幅1600mm
●全高1320mm
●ホイールベース2500mm
●トレッド前/後1325mm/1310mm
●最低地上高180mm
●車両重量1090kg
●乗車定員4名
●登坂能力tanθ0.51
●最小回転半径5.2m
●エンジン型式G161W型
●エンジン種類水冷直列4気筒DOHC
●総排気量1584cc
●ボア×ストローク82×75mm
●圧縮比10.3:1
●最高出力120ps/6400rpm
●最大トルク14.5kg-m/5000rpm
●変速比1速3.467/2速1.989/3速1.356/4速1.000/後退3.592
●最終減速比4.111
●燃料タンク容量58L
●ステアリング形式ボールスクリュー式
●サスペンション前/後コイルスプリング式独立懸架ダブルウイッシュボーン/セミフローティングリーフスプリング・トルクロッド付
●ブレーキ前/後ディスク/リーディングトレーリング
●タイヤ前後とも6.45H-14-4PR
●発売当時価格172万円



【2】へ続く

初出:ノスタルジックヒーロー 2019年6月号 vol.193
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1969年式 いすゞ 117クーペ(全3記事)

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photo: Isao Yatsui/谷井 功 Cooperation : Isuzu Sportas/イスズスポーツ

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