月50台のハンドメイド。10年で手放したオーナーはわずか2%|1969年式 いすゞ 117クーペ【2】

ジウジアーロのデザインを忠実に再現したCピラーからリアへの流麗なライン。ハンドメイドは、このピラーの細さを実現するためでもあった

       

【イーネ!いすゞ 1969年式 いすゞ 117クーペ vol.2】

 ちなみに、ジュネーブショーで出展されたギアいすゞ117スポルトをショーモデルそのままの形で市販するには量産過程で難しい部分が数多くあり、本来であればボディデザインを修正する必要があった。

 しかし、当時のいすゞはショーモデルのデザインを優先し、あえて時代をさかのぼった手作業での量産化を行う。手作業で作られたボディラインは1台1台の寸法が違うので、それをさらに組み立ての過程で修正した。まさにハンドメイドと呼ぶにふさわしいモデルだったのだ。




 ハンドメイドの生産台数は月50台程度。発売当時から希少であったため、購入後も大事にされ、78年のいすゞの新聞広告には国内登録台数に占める保有台数の割合が98%であることがうたわれた。つまり発売から10年で手放したオーナーはわずか2%にすぎなかったということ。生産台数が少ないにもかかわらず、現存数が多いことも納得のクルマなのである。

【画像20枚】あえて時代をさかのぼった手作業での量産化を目指したいすゞ。まさにハンドメイドというにふさわしい。


>>リアサイドウインドーはスライド式ではなく、チルト式。三角窓と合わせ、室内へのベンチレーション機能は高い。


>>マフラーはISUZU SPORTSオリジナルのデュアルマフラー。フジツボとの共同開発で完成させた純正形状のステンレス製。


>>トランク内の内張りは張り替えられている。ちなみにこのタイヤカバーも張り替えられている。タイプⅠ専用カバー。


1969年式いすゞ117クーペ(PA90)

●全長4280mm
●全幅1600mm
●全高1320mm
●ホイールベース2500mm
●トレッド前/後1325mm/1310mm
●最低地上高180mm
●車両重量1090kg
●乗車定員4名
●登坂能力tanθ0.51
●最小回転半径5.2m
●エンジン型式G161W型
●エンジン種類水冷直列4気筒DOHC
●総排気量1584cc
●ボア×ストローク82×75mm
●圧縮比10.3:1
●最高出力120ps/6400rpm
●最大トルク14.5kg-m/5000rpm
●変速比1速3.467/2速1.989/3速1.356/4速1.000/後退3.592
●最終減速比4.111
●燃料タンク容量58L
●ステアリング形式ボールスクリュー式
●サスペンション前/後コイルスプリング式独立懸架ダブルウイッシュボーン/セミフローティングリーフスプリング・トルクロッド付
●ブレーキ前/後ディスク/リーディングトレーリング
●タイヤ前後とも6.45H-14-4PR
●発売当時価格172万円


【3】へ続く

初出:ノスタルジックヒーロー 2019年6月号 vol.193
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1969年式 いすゞ 117クーペ(全3記事)

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photo: Isao Yatsui/谷井 功 Cooperation : Isuzu Sportas/イスズスポーツ

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