スティーブ・マックイーンも「栄光のル・マン」で着用したクロノグラフ|ホイヤー モナコ|ビンテージウォッチの奥深き世界

初代モナコを象徴する左側リューズ。

       
創業時から計時技術の向上を追求したホイヤーは、モータースポーツ界とともに発展した歴史を持つ。なかでも1970年に発表された角形時計「モナコ」は伝説的なモデルとして多くのファンから愛される逸品だ。

【ホイヤー モナコ|ビンテージウォッチの奥深き世界】

1960年代〜70年代、クルマが飛躍的に性能を高めた時代。人々は「スピードへの憧れ」を強く持ち、モータースポーツは隆盛を誇った。

高速マシンの登場は、より精密なレース計時を必要とする。スイスの腕時計ブランドであるホイヤー(現タグ・ホイヤー)は、すでにこの時期クロノグラフの権威として腕時計界に君臨。

ごく自然の成り行きでモータースポーツ界と蜜月な関係を構築していった。71年にフェラーリチームの公式計時を担当し、1000分の1秒という驚異的な計時を実現。92年にはF1の公式タイムキーパーを務め、伝説のレーサー、アイルトン・セナともパートナーシップを締結していった。

そういった時代のなかで同社の人気を不動にした腕時計が69年に発表したモナコだった。翌年公開の映画「栄光のル・マン」で、ポルシェ917ガルフを駆るスティーブ・マックイーンが自ら希望してモナコを使用。これが劇中のシーンとともに大きな話題となり、瞬く間に世界的なヒットを記録。現在まで続くロングセラーとなった。

個性的な意匠に目が行きがちだが、モナコは腕時計史に2つの偉大な革新をもたらしていることも触れておきたい。一つは世界初の自動巻きクロノグラフムーブメントを搭載していること。もう一つは角形ケースに気密性を持たせることが難しかった当時、世界初の角形防水ウオッチだったことである。

モナコの初代モデルが市場に出回るのは極めて珍しい。希少性の高さでも注目してもらいたい腕時計だ。

【画像9枚】モータースポーツの隆盛とともに、精密なレース計器としてクロノグラフは発展していった


>>「栄光のル・マン」でF1レーサーを演じるスティーブ・マックイーン。右腕に装着しているモナコは、この作品を機にプライベートでも愛用するようになったという。


>>1968年ル・マンで優勝を飾った、ペドロ・ロドリゲスとルシアン・ビアンキのフォード・GT40。このガルフカラーが劇中のスティーブ・マックイーンの衣装にも使われた。



現行モデルならコレ!




モナコ クロノグラフキャリバー12


ブルー文字盤と赤い指針はオリジナルそのままに、リューズを右側に変更した現行モナコ。硬質なサファイアクリスタル風防や高精度なCal.12を搭載するなど最新技術を盛り込む。



モナコ クロノグラフキャリバー11

「栄光のル・マン」で登場したポルシェ・ガルフ917Kをイメージして、文字盤にペールブルーとオレンジのストライプを配した2018年新作。もちろんリューズは当時と同じ左側にセット




ジャックロード

ビンテージ、現行品問わず幅広い品揃えを展開する、東京・中野ブロードウェイの老舗時計店。総在庫本数は常時6000本を超え、訪れるたびに新しいモデルに出合える。





初出:ノスタルジックヒーロー2018年12月号 Vol.190
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

ホイヤー モナコ|ビンテージウォッチの奥深き世界

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photo:Takefumi Taniguchi/谷口岳史

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