【第四話[2]】「キャブレターもラジエーターも、確かに不安はあった部分です」|旧車復元プロジェクト

不動の原因を、配線を手繰りながら追っていく。メーター付近でも通電不良の配線が見つかる

       
【1】から続く

S600の復元プロジェクトもいよいよ大詰め。今回はエンジンを始動させての最終点検で、完了すれば路上復帰が可能。車検も通せる状態になる。

【GLION MUSEUM presents 旧車復元プロジェクト 第四話[2] 1964年式 ホンダ S600】

エンジンからの異音やオイル漏れ、排気漏れなどを、時折アクセルをあおりながら慎重にチェックしていく。しばらくして柘植さんが、キャブレターからの燃料漏れを発見。さらに、ラジエーターにわずかな水漏れがあることも発覚した。どちらもエンジンを回さないことには表面化してこないトラブルだ。柘植さんによると、この車齢の不動車ともなると、キャブレターもラジエーターもそのまま使えるケースはめったにないらしい。

「キャブレターもラジエーターも、確かに不安はあった部分です。ただ、どちらも致命的なダメージはない様子だし、修理すればまだまだ大丈夫。エンジン本体にはコレといった問題は見受けられないし、補機類の修理であれば費用もさほどかかりません」

CVキャブレターの燃料漏れは、ブリーザーパスとエアクリーナーベースを固定するボルトの不具合が原因と判明。補修パーツの在庫がないため、専門業者に修理を依頼する。

「どうせなら悪い部分をすべて直してもらえるよう、全バラでOHしてもらいます」と柘植さんがいうキャブレターは、ボルト以外にも、ガタや劣化が認められたスロットル軸やバタフライ、さらにフロートが新しいものに交換された。ベンチュリーはホーニングされ、キャブ本体のボディはブラスト処理が行われたことで、まるで新品のような美しさで戻ってきた。

一方、東洋製となるラジエーターの水漏れは、コアに入ったわずかなクラックが原因で、これも専門業者に修理を依頼。コア全体を交換し、上下タンクの内部も念入りに洗浄されており、こちらもOHといえる仕上がりだ。

【画像29枚】この車齢の不動車ともなると、キャブレターもラジエーターもそのまま使えることはめったにないという。


>>灯火装置の点検はヘッドライトを含むすべての球を純正規格の新品と交換して行われた。その際、右側のヘッドライトが点灯しないことが発覚。


>>電流計が作動せず、燃料計も動かない。水温計の針も、エンジン始動後しばらく待っても動かず、灯火装置に続いて原因究明が始まる。




初出:ノスタルジックヒーロー 2018年 12月号 Vol.190

(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)


GLION MUSEUM presents 旧車復元プロジェクト 第四話(全3記事)


関連記事: 旧車復元プロジェクト



【3】に続く

Text:Isao Katsumori(ZOO)/勝森勇夫(ズー) photo:Ryota-Raw Sshimizu(FOXX BOOKS)/清水良太郎(フォックスブックス) cooperation:Glion Museum/ジーライオンミュージアム

RECOMMENDED

RELATED

RANKING