【第四話[1]】「とりあえず走れる状態にしておいて、自分好みに仕上げていく」|旧車復元プロジェクト

エンジン始動後の点検は、しばらくアイドリングさせてから行う。視覚、聴覚、嗅覚などをフルに使ってトラブルがないかを調べる

       

S600の復元プロジェクトもいよいよ大詰め。今回はエンジンを始動させての最終点検で、完了すれば路上復帰が可能。車検も通せる状態になる。

【GLION MUSEUM presents 旧車復元プロジェクト 第四話[1] 1964年式 ホンダ S600】

旧車のレストアというと、かなりの出費が必要と思われがち。確かに、新車のような輝きを取り戻そうとするならば、それ相応の費用がかかる。ただし、とりあえず走れて車検が取得できるコンディションへの復元となれば話は別。「くたびれ感」も味わいと楽しめるなら、それほどコストはかからない。

不動車のホンダS600を題材に、ジーライオンミュージアムの協力を得て進めてきたこの旧車復元企画は、レストアではなく、路上復帰がテーマとなっている。

ボディやパーツなど、使えるものは生かし、必要以上に手を加えず、最小限のコストで公道を走り回っていた頃のコンディションを取り戻す。もちろん、路上復帰=車検が取得可能な状態と考えるため、安全面に対する整備はおこたらない。

「いきなり、新車当時の完全な状態の仕上がりを求めず、とりあえず走れる状態にしておいて、自分好みに仕上げていく。クルマいじりが好きな方にはおすすめの楽しみ方です」。

チーフメカニックの柘植俊哉さんも、そんな肩の力を抜いた旧車との付き合い方を提案している。もちろん、金銭的になかなか踏み出せないでいる人も、このスタイルなら、無理なく念願の旧車ライフを始められるだろう。

 かぶっていた50年分のホコリや汚れを落とすことから始まった復元作業もいよいよ大詰めを迎え、今回はエンジンを始動させての点検と整備を行う。始動準備を終えたホンダの往年の名機AS185E型エンジンは、セルモーターを回すと軽快に目覚め、その後エンジンをしばらくアイドリングさせてから各部の点検がスタート。

【画像29枚】とりあえず走れる状態までの復元なら、金銭的にも旧車ライフをスタートしやすい。


>>OHが完了。問題のボルトはスタッドボルトに戻された。


>>専門業者によるコア交換とタンク内の洗浄を受けた東洋製真ちゅうラジエーター。フィンは放熱効果の高いコルゲートフィン型を採用している。


初出:ノスタルジックヒーロー 2018年 12月号 Vol.190

(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)


GLION MUSEUM presents 旧車復元プロジェクト 第四話(全3記事)


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【2】に続く

Text:Isao Katsumori(ZOO)/勝森勇夫(ズー) photo:Ryota-Raw Sshimizu(FOXX BOOKS)/清水良太郎(フォックスブックス) cooperation:Glion Museum/ジーライオンミュージアム

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