【第三話[1]】丸3日かかった洗車を終えたところで、帰国子女であるS600に小さな問題が発覚!|旧車復元プロジェクト

ブレーキは重要保安部品であり、昔も今も安全走行の要。ジーライオンミュージアムの点検整備はどのクルマもここから始まる

       
ホンダS600を路上復帰させるこのプロジェクト。今回から、各部の点検&修理を行う。オーストラリアからの帰国子女である54歳のS600を、長い眠りから目覚めさせる本格的なメンテナンスのスタートだ。

【GLION MUSEUM presents 旧車復元プロジェクト 第三話[1] 1964年式 ホンダ S600】

 丸3日がかりの洗浄作業を終え、ジーライオンミュージアムのチーフメカニック柘植俊哉さんが、最初に手を付けたのが、安全走行の要となるブレーキまわりだ。エンジンルーム内のブレーキマスターやクラッチマスターのアッセンブリーを取り外しての点検。続けて、前後左右のブレーキドラムを外し、各部を細かくチェック。すると、小さな問題が発覚。リアに組み込まれたホイールシリンダーが、純正サイズ(φ19mm)よりも大きいのだ。

「フロントと同じφ22mmのようです。左右が同じなら、問題はないと思いますが……。海外の旧車にありがちな応急処置かもしれません」と柘植さん。

 さらに、ブレーキシステムを構成するパーツを丁寧に分解していく。チェックポイントとしては、ブレーキドラムはクラックや段付きがないか。ブレーキシューは剥離や残量をチェック。また、ほとんどの旧車で交換するのがハブベアリングだ。実際、このS600のハブベアリングも傷みが激しく、早々に修理用パーツを発注した。

 ブレーキ系に関しては、シールやパッキン、ホースといったゴム類に関しては、それぞれ状態を確認して交換する。S600は、ブレーキ系のリプロパーツが充実しており、その点では付き合いやすい旧車といえる。

【画像36枚】洗車を終えたところで小さな問題が発覚した。リアに組み込まれたホイールシリンダーが、純正サイズ(φ19mm)よりも大きい。しかし、リアのシステムにも大きなダメージは見当たらなかった。測定の結果、フロントと同じφ22mmだったホイールシリンダーは、左右同—だったため再利用。フロント同様ハブベアリングは新品に


>>ブレーキの整備は、①ドラムを外す。②高圧洗浄。③分解して点検。④再組み上げという流れだ。この時ブレーキホースやホイールシリンダーのパッキンなど、ゴム類は状態を確認して必要なら補修品に交換する。ハブはベアリングとシールを新品にし、ボルトは再使用した。



>>  トレーリングアームをかねるチェーンケースの点検を実施。ケースを開けての大がかりな作業。軽量化のために穴が開けられたチェーンスプロケットは1964年式S600の特徴だ。


【2】へ続く


初出:ノスタルジックヒーロー2018年10月号 Vol.189
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

GLION MUSEUM presents 旧車復元プロジェクト 第三話(全3記事)

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text:Isao Katsumori(Zoo)/勝森勇夫(ズー) photo:Ryota-Raw Shimizu(Foxx Bookes)/清水良太郎(フォックスブックス) COOPERATION:GLION MUSEUM/ジーライオンミュージアム

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