【第三話[2]】「感触も良かったし、きっと大丈夫です」完動状態で眠りについた帰国子女のS600|旧車復元プロジェクト

トレーリングアームをかねるチェーンケースの点検を実施。ケースを開けての大がかりな作業。軽量化のために穴が開けられたチェーンスプロケットは1964年式S600の特徴だ

       
【1】から続く

ホンダS600を路上復帰させるこのプロジェクト。今回から、各部の点検&修理を行う。オーストラリアからの帰国子女である54歳のS600を、長い眠りから目覚めさせる本格的なメンテナンスのスタートだ。

【GLION MUSEUM presents 旧車復元プロジェクト 第三話[2] 1964年式 ホンダ S600】

 次は駆動系の点検。S600の特徴であるチェーンアクスルは、ケースを開けてチェーンの伸び、チェーンスプロケットの磨耗、さらにトレーリングアームをかねるチェーンケース本体にクラックが入っていないかなどを確認する。

 今回は、スプロケットベアリングの状態が悪く交換。ただし、チェーンはテンションの調整のみでそのまま使えると判断した。

 続いて、エンジンを始動するために、キャブレターや点火系をチェックする。柘植さんによると、燃料が送れて、火が飛びさえすれば、十中八九エンジンは始動し、アイドリングするらしい。

「クランキングチェックの感触も良かったし、きっと大丈夫です」と柘植さん。おそらく、故障して乗らなくなったのではなく、完動状態で放置され、そのまま眠りについたと推測する。

【画像36枚】おそらく故障ではなく完動状態ののまま眠りについたとされるこの個体。点検を終えた燃料タンクをトランクルーム内に設置。ちなみに、輸出仕様のため容量は国内向けよりひと回り大きい30L。ラジエーターキャップを新調し、冷却系の準備も整った。後はエンジンをかけ、水温が上昇し、圧力がかかった状態で確認する



>>エンジンルームの洗浄時に取り外した京浜精機製CVキャブレター。4気筒エンジンに4連キャブというバイクのような構成だ。燃料がにじんだような跡が少々気になるところ。


>>燃料タンクは車体から取り外して内部を清掃する。剥がれた塗膜を残らず除去し、念のためタンクの内部を防サビ効果もあるシーラーで処理。



【3】へ続く


初出:ノスタルジックヒーロー2018年10月号 Vol.189
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

GLION MUSEUM presents 旧車復元プロジェクト 第三話(全3記事)

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text:Isao Katsumori(Zoo)/勝森勇夫(ズー) photo:Ryota-Raw Shimizu(Foxx Bookes)/清水良太郎(フォックスブックス) COOPERATION:GLION MUSEUM/ジーライオンミュージアム

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