パンテーラGTS【3】「排気量こそ力なり」コスト的にもメンテナンス的にも理にかなった、新たなスーパーカー|サーキットの狼世代へ

コンソールに切られたシフトゲート。T字形に組み合わせられたダッシュボードとセンターコンソールはイタリアを感じさせるデザインだ。

       
【2】から続く

【サーキットの狼世代へ 1973年式 デ・トマソ・パンテーラGTS vol.3】

シリーズ構成は、ベースモデルがパンテーラ、72年にアメリカ市場を見据えた豪華版のパンテーラLが登場。ベースモデルは330psだったが、Lは扱いやすさを考慮してパワーを抑える仕様で設定された。

そして73年に登場するパンテーラGTS。ヨーロッパ仕様とアメリカ仕様が存在し、ヨーロッパ仕様はエンジンの圧縮比を上げ350psの最高出力を得る設定となっていた。

翌74年に登場するGT4は、ホモロゲーション取得のモデルということもあり、500psのエンジンとそれを支える超ワイドタイヤの組み合わせで作られた。実際の販売台数は6台。

精緻なメカニズムによる高性能を最上とするファンには、ローテク、ローメカのパンテーラは異端と映ったが、排気量こそ力なりというアメリカ流の考え方は、コスト的にもメンテナンス的にも理にかなったもので、新たなスーパーカーのあり方を示していた。

【画像21枚】パンテーラは、ローテク、ローメカながらコスト面、メンテナンス面で理にかなった新たなスーパーカーのあり方を示した


>>レッドゾーンが6000rpmから始まるタコメーター。ほぼスタンダードスペックの大排気量V8 OHVの存在を感じさせる。スピードメーターはフルスケール300km/hの表示だ。


>>バケットシートはそれほどタイト感の強くないものが使われている。


>>ロッカーカバーにはデ・トマソ専用エンジンであることを示す「DE TOMASO」のロゴが入る。



サーキットの狼Story/排気量を生かして活躍するも自ら仕掛けた罠に陥る

四国の獅子が操ったパンテーラ(作中ではGT4)は、その大排気量を生かせる直線で優位に立ち、終盤まで上位集団に残る活躍を見せる。さらに四国の獅子は配下に火山地帯で落石を引き起こさせると、自らがトップに立ち、フェラーリの女豹と1位争いを演じる。最後はそのバトル中に、自らが引き起こした落石の残骸に突入してしまい、リタイアした。





1973年式 デ・トマソ・パンテーラGTS

全長×車幅×全高4270×1830×1100mm
ホイールベース2515mm
トレッド 前/後1450㎜/1460mm
車輌重量1420kg
エンジン水冷V型8気筒OHV 縦置きミッドシップ
総排気量5763cc
最高出力266PS/5000rpm
最大トルク45.0kg-m/3500rpm
生産年1970〜1990年
生産台数7298台
生産国イタリア

※スペックは池沢早人師ミュージアムに準じる。


サーキットの狼世代へ 1973年式 デ・トマソ・パンテーラGTS(全3記事)


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【2】から続く

text:Akihiko Ouchi/大内明彦 photo: Motosuke Fujii(Salute)/藤井元輔(サルーテ) Cooperation : 池沢早人師サーキットの狼ミュージアム

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