パンテーラGTS【2】「本格的なミッドシップスポーツを廉価な価格設定で」をコンセプトに開発された、大排気量アメリカンV8。|サーキットの狼世代へ

ボディは生産性との兼ね合いでセミモノコック構造を採用している。リアミッドシップの中でもかなり前方にエンジンを寄せており、重量バランス的にも優れたパッケージだ。

       
【1】から続く

【サーキットの狼世代へ 1973年式 デ・トマソ・パンテーラGTS vol.2】

パンテーラはフォード自身の意向も強く働いたモデルで、カロッツェリア・ギアがデザイン(デザイナーはトム・チャーダ)、エンジンは5.8LのフォードV8で、狙いは廉価なスーパースポーツカーだった。パンテーラ自体は息の長いモデルで、途中大きなマイナーチェンジも受けているが、71年から92年までの21年間で、およそ7260台が生産された。

コンセプトは、本格的なミッドシップスポーツを廉価な価格設定で市場に送り出すことにあり、フォードが積極的だったという理由もこのあたりにあった。このため、ボディ構造はこのクラスのスーパーカーとしては異例となる、量産向きのモノコックボディで設計された。専用シャシーにボディを架装する一般的なスーパーカーの構造は、ベースコストが高くなるためだ。

エンジンはストックブロックのフォードV8 OHV。351(5.8L)を選んでいるが、それでも300psオーバーを確保できる点が大排気量アメリカンV8の強みだ。精緻かつ複雑なヨーロッパ型のV12 DOHCエンジンと比べると、軽量コンパクト、廉価といいことづくめで、さらにパワーが欲しければ、427(7L)のような大排気量エンジンに載せ替えるだけで簡単に解決する特徴があった。

【画像21枚】軽量コンパクト、廉価ながら、大量排気アメリカンV8エンジンを積んだいいことづくめのスーパーカーだった


>>リアエンジンベイに収まるフォード製351エンジン。ヨーロッパ流なら4L級V12 DOHCを搭載するところだが、デ・トマソはほぼ1.5倍となる5.8Lの排気量によってその性能を得ている。


>>側面は端正なウエッジフォルムでデザインされたパンテーラ。丸みを帯びた面の構成ではなく、直線基調ですっきりとした印象を与える車両だった。


>>マフラーは左右に振り分け、出口をそれぞれ2本ずつ。排気音はV8のOHVらしい、響きとすごみのある音だ。ここに冷却系をマウントしている点も興味深い。


1973年式 デ・トマソ・パンテーラGTS

全長×車幅×全高4270×1830×1100mm
ホイールベース2515mm
トレッド 前/後1450㎜/1460mm
車輌重量1420kg
エンジン水冷V型8気筒OHV 縦置きミッドシップ
総排気量5763cc
最高出力266PS/5000rpm
最大トルク45.0kg-m/3500rpm
生産年1970〜1990年
生産台数7298台
生産国イタリア

※スペックは池沢早人師ミュージアムに準じる。


サーキットの狼世代へ 1973年式 デ・トマソ・パンテーラGTS(全3記事)


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【3】に続く

text:Akihiko Ouchi/大内明彦 photo: Motosuke Fujii(Salute)/藤井元輔(サルーテ) Cooperation : 池沢早人師サーキットの狼ミュージアム

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