ヤタベRS【2】「新車を造る工程とまったく同じ」ともいえる工程を経て実車化された、ファン待望の一台|サーキットの狼世代へ

実車のヤタベRSのエンジンフードは後ろヒンジとされた

       
【1】から続く

【サーキットの狼世代へ ヤタベRS(レーシングスペシャル) vol.2】

ヤタベRS(ディーノ・レーシングスペシャル)は、実車が存在しないクルマであり、実際にはどのようなクルマであるのかを当時のファンは想像するしかなかった。

もっとも近い存在であったのはディーノ206コンペティツィオーネ。1967年にピニンファリーナが製作したコンセプトカーで、世界にたった1台しない車両。しかし、リアウイングをはじめとしてサーキットの狼に登場したディーノRSとは大きく違っていて、これをもってモチーフと呼ぶにはふさわしい存在ではなかった。

ディーノRSとはいったいどんなクルマなのか。実際に作ってみたい。そんなことを考えるファンは数多く存在していた。サーキットの狼ミュージアムの館長である八幡正毅さんの次男である毅さんもそのひとりだ。

とあるカービルダーが作り始め、頓挫してしまったディーノRSの実車を引き継ぎ、10年がかりで完成にこぎつけたのが、このヤタベRSだ。

実車化は、「サーキットの狼」の作者である池沢早人師さんの徹底した監修の下で行われたのだが、一番重きを置いたのが、漫画の1コマ1コマを再現できるほどこだわったボディラインだ。そのボディを作るため参考とされたのが漫画連載時に発売されたNITTOの1/24のディーノRSプラモデル。

それを参考に1/6のクレイモデルを作り、スケールを大きくしていき、最終的に1/1クレイモデルを製作。それは新車を造る工程とまったく同じと言っていいものだった。

【画像16枚】1/6のクレイモデルを作り、スケールを大きくしていき、最終的に1/1クレイモデルを製作するという、新車を造るのと同じともいえる工程がふまれた。


>>漫画そのままの曲線が完璧に再現。


>>4本出しのエキゾーストも漫画そのままだ。


>>アルミむき出しのインテリアに2脚のシートは、アルミのシェルにビニールレザーを張って作られ、サベルトのレーシングハーネスが装着。



ヤタベRS(レーシングスペシャル)

ホイールベース2355mm
エンジン水冷V型8気筒DOHC4バルブ
総排気量3185cc
最高出力270hp/7000rpm
最大トルク31kg-m.5500rpm

※スペックは池沢早人師ミュージアムに準じる。


初出:ノスタルジックヒーロー 2018年 12月号 Vol.190

(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)


サーキットの狼世代へ ヤタベRS(レーシングスペシャル)(全3記事)


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【3】に続く

photo: Isao Yatsui/谷井 功 Cooperation : 池沢早人師サーキットの狼ミュージアム

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