伝統の架装が困難になった時代。先鞭をつけた激レア・モノコック・スペシャルボディ|1967年式 ロールス・ロイス シルバーシャドウ ジャームズ・ヤング製2ドアサルーン【1】

スペシャルコーチワーク時代の 終えんを飾ったロールス・ロイス

       
有名なコーニッシュではなく、4ドアのシルバーシャドウでもない。シルバーシャドウのシルエットを持つ2ドアサルーンは、かつて栄華を誇ったコーチビルダー、ジェームズ・ヤングの作品。生産台数はわずか35台という、非常にレアなモデルである。

【輸入車版懐古的勇士  1967年式 ロールス・ロイス シルバーシャドウ ジェームズ・ヤング製2ドアサルーン vol.1】

1965年に登場したロールス・ロイス・シルバーシャドウは、初めて4輪ディスクブレーキや4輪独立懸架を採用するなど、保守的な作風で知られていたR-Rの歴史を刷新する画期的モデルだった。

中でもこのクルマの先進性を決定づけたのが、20世紀初頭から伝承されていたラダーフレームを廃し、ボディ一体のモノコック構造としたことだろう。

ところがモノコックを採用したことで、それまでの伝統であったスペシャルボディを架装するためのシャシー販売が困難となったのも事実。そこでロールス・ロイス社は、傘下のマリナー・パークウォード社とともに、アルミ製ボディを持つ2ドアクーペ(名称はスポーツサルーン)およびコンバーチブル(ドロップヘッドクーペ)を開発。

67年からリリースした。のちのマイナーチェンジに際して「コーニッシュ」と改名される、このクーペ/コンバーチブルだが、実はその前年に、同じく2ドアの特装ボディを持つシルバーシャドウが誕生していた。それが今回の主役、老舗コーチビルダーのジェームズ・ヤング社が自主製作した2ドアサルーンである。

【画像15枚】67年にリリースされた「コーニッシュ」。実はその前年に、同じく2ドアの特装ボディを持つシルバーシャドウが誕生していた


>>スペシャルコーチワーク時代の終えんを飾ったロールス・ロイス


>>流麗な形状の金属製ドアハンドルは、一見Sタイプ・コンチネンタル以来のマリナー・パークウォード製と共通に見えるが、実はこのモデル専用のもの。


>>ホイールキャップは70年代のコーニッシュが専用品だったのに対して、こちらは4ドア版シルバーシャドウと共用。フォーマルな印象をさらに強める。


1967年式 ロールス・ロイス シルバーシャドウ ジェームズ・ヤング製2ドアサルーン

全長×全幅×全高 5169×1829×1519mm
ホイールベース 3035mm
トレッド前/後 1461/1461mm
車両重量 2067kg
エンジン種類 水冷V型8気筒OHV
総排気量 6230cc
トランスミッション ターボハイドラマチック3AT
サスペンション 前ダブルウイッシュボーン+コイル/後セミトレーリングアーム+コイル
タイヤサイズ 205HR15




【2】へ続く


初出:ノスタルジックヒーロー2018年10月号 Vol.189
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1967年式 ロールス・ロイス シルバーシャドウ ジェームズ・ヤング製2ドアサルーン(全3記事)

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text: Hiromi Takeda/武田公実 photo: Jyunichi Okumura/奥村純一

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