ロマンあふれるスーパーカーとのストーリー。全35記事の大特集。サーキットの狼世代へ【まとめ】

サーキットの狼世代へ

       

サーキットの狼世代へ





誰しもが通ったであろう「サーキットの狼」という漫画。この作品が登場するまで実在するクルマを描き切った作品がなかったことに加え、漫画に登場するスーパーカー群を乗り継いできた作者によるリアルなエピソード。そして、1人の暴走族がF1レーサーへと成長する過程を丁寧に描いたストーリーに酔いしれた。そんなサーキットの狼世代に向けて作った本特集。当時の思い出と共に、じっくりと堪能してほしい。


べてはここから始まった 主人公風吹裕矢最初の愛車【ロータス・ヨーロッパ スペシャル】

1973年式 ロータス ヨーロッパ スペシャル

サーキットの狼を代表するクルマであり、主人公風吹裕矢が唯一自分で購入したマシン(姉・ローザが資金を出した)。それだけに思い入れが強く、A級ライセンス取得模擬レース時にエンジンブローした際、裕矢は人目もはばからず涙を流した。当時の子供たちの注目は「世界第2位のコーナリング性能」。ロータスならではのクイックで軽快なハンドリングは、慣性ドリフトをもって、大パワーのライバル車をねじ伏せた。


風吹裕矢ロータスの宿命のライバル。激闘を繰り返す早瀬佐近のカレラ【ポルシェ911カレラRS2.7】

1972年式 ポルシェ カレラ RS2.7 Vol.1】

シリーズ冒頭に出てくる早瀬佐近は風吹裕矢の最大のライバル。ポルシェだけで構成された暴走族の総統で、風吹から勝負を挑まれた人物。ボンネットに街道レースで勝利した★印を刻んでおり、初めて出会った時は風吹のロータス・ヨーロッパに刻まれた星より数が多かった。プロのテクニックを学び、冷静な判断による、正確なドライビング。風吹とは正反対であったが、人望が厚く、2人には友情が生まれた。


幻の多角形コーナリングで駆け抜けたあのヤタベRSを奇跡の実車化【ヤタベRS】

ヤタベ RS

サーキットの狼がもっとも高い人気を誇る流石島レース出場車両で、主人公・風吹裕矢のクルマとしてはロータス・ヨーロッパに次いで知名度の高い車両。裕矢のコーナリングテクニックの代名詞ともなっている「幻の多角形コーナリング」を初めて実現させたクルマでもある。漫画の中ではディーノ・レーシング・スペシャルという名称であったが、大人の事情からか「ヤタベRS」という名前で実車が製作された。


風吹の愛車がシルエットフォーミュラに! そして、日光レースで波乱を巻き起こす【ランチア・ストラトスHFストラダーレ】

1974年式 ランチア ストラトス HF ストラダーレ Vol.1】

レースの支援者谷田部が、暴走族を取りおさえるために、風吹裕矢に与えたクルマがこのランチア・ストラトスであった。見事、事を収めると、次に挑戦したのが、シルエットフォーミュラ参戦。クルマを大改造して挑んだレースであったが、ゴール手前でクラッシュ。実際のドライビングの難しさを劇中でも再現。自動車漫画では追求していなかったリアリティーが読者をさらに引き込み、実車であるスーパーカーブームを引き起こした。


背反する力強さと優雅さを融合。飛鳥ミノルに合ったクールな性能【ランボルギーニ・ミウラP400】

ランボルギーニ ミウラ P400S

元街道レーサーのチャンピオンで、若手ナンバー1レーサーとして注目を浴びる飛鳥ミノルの愛車として登場。時速230km/hからの直角ターンで主人公風吹裕矢の度肝を抜く。風吹らの目標であった飛鳥同様、愛車ミウラも手が届きそうで届かない絶妙な位置にあるスーパーカーとして描かれる。飛鳥は実在のドライバー、川合稔がそのモデルだったと言われている。ちなみに川合の奥さまは小川ローザ。


ヒール役「ハマの黒ヒョウ」を盛り立てた強烈個性のカウンタック【ランボルギーニ・カウンタックLP400S】

ランボルギーニ カウンタック LP400S

スーパーカーブームの中心的存在であったカウンタックだが、この物語の中では脇役、もしくは悪役として描かれることが多かった。その理由はロータス・ヨーロッパという非力なクルマを駆る主人公と大排気量でぶん回す直線番長のスーパーカーの象徴的存在の対比という意味も大きかったようだ。このクルマで主に活躍したのがハマの黒ヒョウ。愚直なまでに対決にこだわる彼は当時の人気キャラクターの1人だ。


伝説の車両に会える【池沢早人師・サーキットの狼ミュージアム】

目的やテーマ別に車両を集めた自動車博物館は少なくないが、コミックに登場する車両が一堂に会したミュージアムとなると、世界広しといえどもそうザラにあるわけではない。サーキットの狼ミュージアムは、そんな性格の色濃い自動車博物館で、サーキットの狼愛読者であれば目がクギ付けになるのは間違いない。ファン同士で訪れれば、車両の前で延々と登場シーンを語り合うことになるのは必至。ひと味違った楽しみ方ができる博物館だ。




>>【画像24枚】伝説の車両が勢揃い、【ロータス・ヨーロッパ スペシャル】など


日本にスーパーカーブームを引き起こしたコミックス 「サーキットの狼」とは


長いサーキットの狼のストーリーをすべて紹介するのは難しいため、今回の特集では主に序盤に登場した車両を紹介している。以下の相関図も風吹裕矢がサーキットの狼・ヨーロッパに乗っていた時代を中心とした主な登場人物で構成させてもらった。また本誌によるシリーズ分けとともに、全27巻を紹介していく。


スペシャルインタビュー 池沢早人師

「サーキットの狼」企画のまとめとして、作者である池沢早人師(連載当時の表記は池沢さとし)さんにお話をうかがうことにした。自動車を題材としたコミックがなかった時代になぜこうした内容構成を考えついたのか、その真意を知るためだが、改めてその成り立ちをうかがってみると、読者がとらえていた「サーキットの狼」像とは異なる一面を見ることができ、新鮮な驚きを受けてしまった。


初出:ノスタルジックヒーロー 2017年12月号 Vol.184
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)


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