ヨーロッパ時代のオールスターキャストを紹介! 全27巻 完全攻略「サーキットの狼」【サーキットの狼 登場人物相関図編】

風吹裕矢とロータス・ヨーロッパ サーキットの狼

       

全27巻 完全攻略
【サーキットの狼 登場人物相関図編】

長いサーキットの狼のストーリーをすべて紹介するのは難しいため、今回の特集では主に序盤に登場した車両を紹介している。以下の相関図も風吹裕矢がサーキットの狼・ヨーロッパに乗っていた時代を中心とした主な登場人物で構成させてもらった。




>> 【画像36枚】1975〜1979年に連載された「サーキットの狼」その全表紙など

 「週刊少年ジャンプ」1975年第1号から連載がスタートした「サーキットの狼」。連載開始当初は人気ランキングの中盤あたりに位置していたが、本編で公道グランプリが始まったとたん「ぶっちぎり」の1位に。その後何度も1位を記録し、文字通りジャンプの看板漫画になった。

 当時、社会現象となったスーパーカーブームの勢いもあり、大ヒットとなったが、この漫画が子供たちに支持された理由はそれだけではない。

 実際のクルマがリアルに描かれている点、登場人物のほとんどが当時社会問題となっていた暴走族だった点など、基本となる設定がそれまでの週刊連載少年漫画らしからぬ、衝撃的な作品と言えるものだった。また、クルマ漫画でありながら、人間中心のストーリーという点もそれまでになかったもの。それでいて週刊少年ジャンプ三原則である友情、努力、勝利がしっかりと踏襲されており、当時の子供たちは、「ちぃぃ!」「えぇぃ、ままよ!」「ぶっちぎりだ!」など漫画に出てくるセリフを使って、サーキットの狼ごっこに興じたものだった。

 子供たちの頭の中では「サーキットの狼」イコール「スーパーカー」となり、やがて大人になった彼らがロータス・ヨーロッパに乗りたい、ランボルギーニ・カウンタックに乗りたいという夢をかなえた例も多い。また、漫画に登場するクルマのスペックを詳細まで暗記し、学校のあちこちで自分のお気に入りのクルマがどれだけ優れているかを競わせる口プロレスが行われ、その中からやがて自動車評論家や自動車雑誌編集者(!)になった人もいる。

 「サーキットの狼」はスーパーカーをリアルに描いた点が注目されているが、実は主人公・風吹裕矢がランボルギーニ、ポルシェといったハイパワーのスーパーカーに乗ることはなく、当初はロータス・ヨーロッパという1・6Lの小型GTカーが愛車。街道レーサーたちが競う「公道グランプリ」、国内レースを戦うための「A級ライセンス取得模擬レース」において、ストレートで抜いていったハイパワーマシンをコーナリングテクニックで追い詰める非力な風吹裕矢のロータス・ヨーロッパというのも大きな魅力だった。

 これは性能で劣るAE86トレノでR32GT‐Rやランエボに勝利する「頭文字D」や旧車であるS30フェアレディZで現代車を引き離す「湾岸ミッドナイト」につながるものがある。

 そして、主人公・風吹裕矢の、走り屋からプロのレーサーへ、そして最終的にはF1ドライバーへと駆け上がる姿が描かれていく。スーパーカーブームが下火になった後も漫画連載は続けられ、F1で勝利する日本人の姿が最後までしっかりと描かれているのである。漫画連載時は、まだF1ブームのきっかけとなる第2期ホンダF1参戦前。その頃に、欧州に渡ってF3に挑戦し、F1へと参戦する姿がリアルに描かれていることは驚くべきことだ。
 本誌の読者の皆さんにとっても、この漫画がなければクルマ好きになっていなかったという人もいるのではないだろうか。

 現在、「サーキットの狼」はデジタルコミックサイト「ゴマブックス」で電子書籍版を購入することができる。子供の頃に読んだ人も読んだことのない人にもお勧めしたい。間違いなく本誌がさらに面白く感じられるはずだ。





【2】に続く

初出:ノスタルジックヒーロー 2017年12月号 Vol.184
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

全27巻 完全攻略「サーキットの狼」(全6記事)

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©︎池沢早人師/animedia.com text:NOSTALGIC HERO/編集部 

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