珍車秘宝館|ホンダS600駆動系編【2】チェーンドライブのメリットは3カ所で回転を落とせるということ

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ホンダS600のエンジン編に続き、今回は駆動系。
独自のユニークなチェーンドライブが採用されているが、構造やメリットなどを、館長なりに解説してもらった。

【昭和ロマン珍車秘宝館|ホンダS600駆動系編 Vol.2】

【1】から続く

「チェーンドライブのメリットとしては、ミッション、デフ、チェーンドライブの3カ所で回転を落とせるということ。通常、デフで最終減速を行いますが、S600は9000rpmという高回転仕様のエンジンのため、そのままではプロペラシャフトが高回転で回ります。そのため、ミッションで一度減速し、デフとチェーンドライブでも減速しているのが特徴です。デフの減速比は3.15、そしてチェーンドライブでは1.87減速され、トータルの最終減速比は5.89。いかにエンジンが高回転型か分かるギア比ですね。また、このレイアウトのメリットは、デフのギアをコンパクト&軽量にできる、トレーリング式の独立懸架になり、デフ自体はフレームに固定しているため、バネ下荷重が小さい。上下振動をトレーリングアームの動きで吸収できるため、乗り心地がよいなどがあります。

 ただ、デフのギアセットは、現在のようにハイポイントギアではなく、前時代的なスパイラルベベルギアを使っています。ドライブピニオン軸受けも、今ならテーパーローラーベアリングを向かい合わせに使いますが、S600ではローラーベアリングとアンギュラーベアリングを向かい合わせで組み込んでいます。この部分は先進的ではなく、当時の標準か多少遅れ気味な感がありますね」と絶好調な館長。スペースだけではなく、高回転仕様のエンジンに対する機構としても、独創的だったのだ。


>>【画像10枚】 4輪独立懸架を実現した独創的なチェーンドライブなど



バイクのスイングアームと同じようにスイングするトレーリングアーム兼チェーンドライブ。






白いS600のほうは、チェーンケースに製造年月日が鋳込まれていて、「39、8、27」というのは、昭和39年8月27日製造ということ。2:チェーンケース内には、潤滑用のオイルが充填されているため、オイル交換が必要になる。





チェーンケース内には、潤滑用のオイルが充填されているため、オイル交換が必要になる。



【3】に続く

初出:ノスタルジックヒーロー 2017年10月号 vol.183
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

ホンダS600駆動系編(全2記事)

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【1】から続く

photo & text : 珍車秘宝館 館長

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