550cc軽トラックのゆかいな仲間たち【4】モディファイベースとなった、9代目キャリイの歴史。と仲間のミニキャブ|1990年式 三菱 ミニキャブ スーパーデラックス

1984年に登場した4代目のミニキャブは、1990年には660ccにマイナーチェンジして1991年まで製造された。4WDと2WDがあり、これは2WDのタイプ。

       

【550cc軽トラックのゆかいな仲間たち Vol.4】

最近にわかに注目されている550ccの軽トラック。世代的にも本誌にはバッチリなクルマたちだ。気楽に楽しめることはもちろん、海外に広く輸出されているため、それぞれの国で独自の仕様が存在。そんなパーツでも楽しめる、いま一番お勧めのジャンルだ。

1990年式 三菱 ミニキャブ スーパーデラックス

【3】から続く

 その前に、まずはベースとなった9代目キャリイについて簡単に解説しておこう。1985年のフルモデルチェンジでそれまでのST30/40系(4WD車はST31/41)から9代目へと移行。この8代目に関してはトミカのミニカーやアオシマのプラモデルで記憶している人も多いであろう、愛らしい丸形ヘッドライトと樹脂グリルが特徴的な、和風テイストの軽トラだった。プラモデルの印象が強いことからか、前期型はラーメンキャリイと呼ばれることもある。今回、その後期型の消防車仕様にも登場いただいている。

 9代目では角形ヘッドライトを採用し、都会的なテイストに雰囲気が変わる(後にマイナーチェンジで丸形ヘッドライトが復活)。型式はDA71T/DB71T/DA81T。DAは2WD、DBが4WD。エンジンはスズキ車で広く使われていたF5A型4サイクル水冷直列3気筒SOHC、543cc(ボア62mm×ストローク60mm)を搭載。

 しかしそこは2サイクルに強いスズキ。9代目にも、型式DA81Tという、約1年しか生産されたなかったレアな2サイクル車が存在する。エンジンはジムニーにも使われていたLJ50型2サイクル水冷直列3気筒、539cc(ボア61mm×61.5mm)。

>>【画像57枚】キャリイ&ミニキャブ、5台の仲間たちが居並ぶショットや、各車のディテールなど

 360cc時代には2サイクルエンジンは、小型軽量でありながら高出力を得られることから主流であった。550cc化されてからは排ガスがキレイな4サイクルエンジンが主役へと変化していく。

 そんな中、2サイクルで昭和53年規制をクリアできたスズキだけに、8代目でも30系が2サイクル、40系が4サイクルというふうに、同一車体で2サイクルエンジン搭載車と4サイクルエンジン搭載車の併売を続け、2サイクルへのこだわりが感じられた。その流れをくむ2サイクルのDA81Tだが、発売わずか1年で生産中止となる。時代は2サイクルを求めていなかったのだ。生産中止から1年後にはF5A型にスーパーチャージャーモデルを追加。過給機による高出力モデルが2サイクル車の穴を埋めることになる。

 その後9代目キャリイは1989年にマイナーチェンジにより40系。1990年に50系となり660cc化され、1991年にはフルモデルチェンジにより10代目にバトンタッチする。

 トラックだけでなくバンタイプもあるが、5ナンバーのワゴンはエブリイ、4ナンバーの商用バンに関しては、例外もあるがキャリイバンの車名を使っている。

ゆかいな仲間4:1990年式三菱ミニキャブ スーパーデラックス



>> フロントスプリングをカット、リアはリーフの組み換えでローダウンしてあるほかはノーマル状態。




>> 丸形2灯のヘッドライト。この時代から他社も含めグリルレスのデザインが多くなった。




>> 荷台のアオリ上部には保護用のゴムが装着されている。




>> ノーマル状態のインパネ。




>> 室内まで水洗いしたというほど、入手時は汚れていたという。




>> こちらも三方開の荷台。




>> 10インチのタイヤ。ダンロップは白マーカー仕上げしている。


OWNER



草ヒロ状態の放置車両を入手し、車検が取れる状態にまで仕上げたというオーナー。現在はスプリングを切っただけのローダウンだが、フロントを車高調に変更したいという。

【5】に続く

初出:ハチマルヒーロー 2015年 11月号 vol.32
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

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【1】【2】【3】から続く

text : RYOICHI IGAWA/井川了一 photo : TAKASHI AKAMATSU/赤松 孝

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