550cc軽トラックのゆかいな仲間たち【3】日本初軽トラックの知られざる海外輸出仕様モディファイとは|1987年式 スズキ キャリイ MC

ハイルーフ仕様というレアなMC。ボディカラーは白だが、前出のGME仕様スタンダードに比べてクリームがかった色になっている。両方とも純正色だ。

       

【550cc軽トラックのゆかいな仲間たち Vol.3】

最近にわかに注目されている550ccの軽トラック。世代的にも本誌にはバッチリなクルマたちだ。気楽に楽しめることはもちろん、海外に広く輸出されているため、それぞれの国で独自の仕様が存在。そんなパーツでも楽しめる、いま一番お勧めのジャンルだ。

1987年式 スズキ キャリイ MC

【2】から続く

 そんな80年代軽トラをモデファイし、楽しんでいる人たちがいる。国産旧車乗りならおなじみのショップ「バラクーダ」に集まる面々だ。

 取材先に向かう道中、そういえば時期は秋の稲刈りのまっただ中。田んぼのあぜ道には現役の軽トラが元気に働く様子が見える。田んぼと軽トラ、その取り合わせはあまりにもハマり過ぎる。農繁期の忙しい時期にようこそおいでくださました、とでも挨拶でもしようか、そんなことを考えながら現地に着くと、そんなこと言ったらすべるなと思えるほど、出迎えてくれたのは、都会的でクールな軽トラたちだった。

 バラクーダ代表の飯田浩士さんいわく、軽トラのカスタムというと、「和風な感じが多い中、あえて洋風を狙ってみました」というモデファイの方向性は海外輸出仕様。それもイギリス向けというから面白い。日本人にとって縁が深い軽トラの、知られざる海外輸出仕様の世界を垣間見てみたい。

 日本ではとても身近な、道具としてなじみあるクルマ、軽トラだが、軽トラに対する郷愁の念は、日本人独特のものなのだろうか。

>>【画像57枚】キャリイ&ミニキャブ、5台の仲間たちが居並ぶショットや、各車のディテールなど

 日本国内での軽自動車専用規格ということもあり、軽トラは日本だけの文化というイメージがあるかもしれないが、実はかなりの数が海外に輸出されて活躍している。アジア諸国やアフリカから、北米やヨーロッパまで、世界中で軽トラックは活躍している。

 もちろん、海外では550ccや660ccといった軽自動車独自の排気量制限はない。たとえばスズキのヨーロッパ仕様では、1Lクラスのエンジンを搭載するなど、国内仕様とはかなり状況が異なる。そのためイギリスではリッターカーという扱いになる。

 アジア諸国やアフリカなど、発展途上国では、軽トラは日本国内以上に酷使されているんだろうな、という想像ができるのだが、先進国であるヨーロッパやアメリカでは果たしてどのような扱いをされているのだろうか。

 今回のカスタムでは、先進国仕様を目指して進められた。今回、ここに登場する3台のキャリイはいずれもイギリス仕様に仕立てられている。各国で販売されているキャリイだが、イギリス国内だけに目を向けても、さまざまなバリエーションが存在していたのが分かる。

ゆかいな仲間3:1987年式スズキキャリイ MC




>> GMCと同じラスカルのボディストライプ。ピラーウインカーは本来もう少し下の位置に付く。





>> グリルは文字が一体成型のタイプ。手書きのRASCALの文字はイギリスの解体屋さんが書いたものであえて残している。




>> 三方開の荷台。純正で前後12インチホイール。MCは前輪ディスクブレーキを標準装備。




>> ステアリングはDA41T用のラスカル純正に変更。




>> MCのシート背面は左右セパレート。



>> ルーフベンチレーターが備わる。


OWNER



昔、父親が乗っていた時から輸出仕様にしたかったという。実はこの輸出仕様モデファイのきっかけを作ったのが、この人。


【4】に続く

初出:ハチマルヒーロー 2015年 11月号 vol.32
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

550cc軽トラックのゆかいな仲間たち(全6記事)


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【1】【2】から続く

text : RYOICHI IGAWA/井川了一 photo : TAKASHI AKAMATSU/赤松 孝

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