ビュレット(弾丸)サイドに惚れ込んで。620トラックを通勤のために購入した|1978年式 ダットサン トラック キングキャブ Vol.2

ビュレットラインが特徴の1978年式620系ダットサン・トラック。精かんな印象のあるフロントグリルは後期型のオリジナルで、610系ブルーバードとの類似性も感じさせる。「初期型のグリルを持っているけれど、まだ交換はしていない」とのこと。

       
移民の国、アメリカ。建国から2世紀以上を経た現在まで絶え間なく世界各国からの移民を受け入れ、人々は社会に溶け込みアメリカ文化を確立する原動力となっていく。ドイツ、日本、そしてブラジルに自分のルーツを持つオーナーが、ダットサン240Zを好きになったのをきっかけに、ニッポン旧車を持つ生活を楽しみ始めた。 

【1978年式 ダットサン トラック キングキャブ  Vol.2】

【1】から続く

 勉学では機械工学を目指したマスイさんだったが、数学が苦手で挫折。進路を変えて工業デザインを学んだ。クライム(KLIM)というリグビー市で1999年に創業した会社へ入社し、4年前にこの地へ引っ越してきた。
「クライムが始めるまでは、スノーモービル専用のウエアって実はなかったんですね」
 アイダホ州といえば、日本でも知られているのが名物のジャガイモ。マスイさんの自宅から遠くないフリーウェイ沿いにも延々と畑が広がっていた。

 しかしそれだけでなく、ロッキー山脈の中核に位置するアイダホ州は多くのスキーリゾートや、有名なイエローストーン国立公園を抱える土地柄だ。そのため冬期の移動手段はとても重要。そんな地盤に、クライム社はスノーモービルに特化したギアのデザイン・販売からスタートした。その技術力をオートバイへも広げ、ホンダ・アフリカツインに代表されるアドベンチャー系バイク用ギアを開発。その中でマスイさんはヘルメットやウエアのデザインを担当している。

「通勤に使おうと思って620トラックを友人から買いとりました。旧車を通勤に使うのは初めてです。実はこの620は以前に隣町で2度も見かけたことがあったのですが、オーナーに会うことはできなかった。後日タイヤ屋に止めてあったのを僕の友人が見かけて、オーナーと交渉したら譲ってもらうことができたと言ってきた。幸いにその友人は僕ほどには620マニアじゃなかったので、僕に譲ってくれたわけです。持っていたショートデッキの620は手放しました。キングキャブのほうが足元も広いし、カッコいい」

 マスイさんに限らず、日本ではウイングライン、アメリカではビュレット(弾丸)サイドと呼ばれる620ボディの特徴を特段にかっこいいと感じるピックアップファンは多い。

>>【画像14枚】ウイングラインの部分には「KING CAB」の文字が入り、固定ガラスのクオーターウインドーがつくキングキャブのサイド・デザインなど





この個体は日本国内には設定のなかった オートマ仕様。キングキャブは足元が広い のがいいとマスイさんは言う。

【3】に続く

初出:ノスタルジックヒーロー 2017年4月号 vol.180(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

ダットサン・トラックの姿に魅せられて(全5記事)

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【1】から続く

text & photo:HISASHI MASUI/増井久志

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