譲渡されるまで40年以上。新車登録して一度も車検をとったことのないクルマだったキャリイ 〜2016〜|1970年式 スズキ キャリイ スタンダード

コクピットは乗用車に近いデザイン。インパネはメイプル木目。

       
大阪の町役場で新車で購入されたが、時代の流れとともに使われることがなくなり、わずかな走行距離のまま車庫に保管し続けられていたL40キャリイ。各地をまわり、希少な旧車を保護する全日本保護指定旧車協会メンバーが、この奇跡的な軽トラックを紹介。

【1970年式 スズキ キャリイ スタンダード Vol.3】

【2】から続く

 新車時に大阪のとある町役場が購入したのだが、時代の移り変わりが激しい時代だったこともあり、すぐに使う機会がなくなり、そのまま車庫にしまわれたままになっていたキャリイ。

 名義は当時の町長。ナンバーは付いていたが、数km走行してそのまま使われなくなったものだ。そのまま廃車にすることをためらった職員の中にいた旧車好きが、独自のネットワークを使ってオーナーにたどり着いたというわけだ。

▶▶▶【画像30枚】新車時に付けられていた保護シートを破れてもそのまま使用しているシート。走行距離が少ない分、シートは新品同様。ドアトリムもビニールが付いたまま。全グレード運転席側だけに装備されたヘッドレストなど

 そんな話を聞いたオーナーは一も二もなく購入することを決め、大阪までの道をわくわくしながら進むことになった。屋根のある場所に保管されていたとはいえ、40年以上も経過した軽トラック。ひどい状態である可能性も考えていたのだが、驚くほど良い車体。細かなサビはあったものの、新車の香りが漂ってくるようなクルマだった。

 しかも、新車登録して一度も車検をとったことのないクルマ。旧車でありながら、ほぼ誰の手あかもついていない希有な状態だったのだ。

【4】へ続く

1970年式 スズキ キャリイ スタンダード
Specifications 主要諸元
●全長2995mm
●全幅1295mm
●全高1575mm
●荷台長1835mm
●荷台幅1205mm
●荷台高270mm
●ホイールベース1745mm
●最低地上高150mm
●車両重量510kg
●乗車定員2名
●登坂能力20.3°
●最小回転半径3.8m
●エンジン種類空冷2ストローク2気筒
●総排気量359cc
●ボア×ストローク61.0×61.5mm
●圧縮比5.8:1
●最高出力27ps/6000rpm
●最大トルク3.7kg-m/56000rpm
●燃料タンク容量26L
●ステアリング形式ボールナット式
●サスペンション前/後コイルスプリングダブルウィッシュボーン型/リジッドアクスル半楕円リーフスプリング従置型
●ブレーキ前/後ツーリーディング/リーディングトレーリング
●タイヤ前後とも5.00-10-4PR
●発売当時価格31万円

初出:Nostalgic Hero 2016年 4月号 vol.174(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

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Text : 全日本保護指定旧車協会 photo : MAKOTO INOUE/井上誠

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