我が青春のリトラクタブル マッチョボディにビッグパワー、これがフルラインターボの旗艦車
【1989年式 三菱 スタリオン 2600 GSR-VR Vol.3】
【2】から続く 1988年には、スタリオンの人気を押し上げたGSR-VRが登場。前年に発売されたワイドボディ仕様と同じグレード名で、エクステリアもホイールが違う程度だが、こちらはデボネアなどに搭載されていた2.6L直列4気筒SOHCのG54B型をベースにしたターボエンジンを搭載。最高出力は175psだが、ロングストロークエンジンのため32.0kgmという豊かなトルクを発生。あらゆる回転域で力強さを感じさせるエンジンはATとのマッチングもよく、「高回転まで回して楽しむスポーツモデル」というよりは、「豊かなトルクで豪快に走らせるアメリカンスポーツ」的な性格の持ち主。これは、カタログに踊る「BIG SPORT・STARION」という言葉からも想像できるというものだ。
また、標準ボディよりも50mmワイドになり、国産車初の50偏平タイヤをすっぽりと覆ってしまうブリスター形状のオーバーフェンダーも多くの人の心をつかんだ。オーナーも、このブリスターフェンダーに衝撃を受け、GSR-VRにほれ込んだという。
国内ではスープラやZ、RX-7といったライバルの陰に隠れ、商業的には成功したとは言い難いスタリオン。しかし、生産終了から四半世紀以上経った今でも、オーナーのようなファンに支えられている幸せなクルマなのだ。
>>【画像17枚】スタリオンでは少数派のワタナベ・エイトスポークのホイールなど。オーナーが「衝撃を受けた」というブリスターフェンダーは、いまやスタリオンのアイコンと言えるディテール。このフェンダーにより、全幅は標準ボディよりも50mmワイドになった OWNER’S VOICE/細かいトラブルはあるけれど最高のクルマです
「程度の良い個体を手に入れる最後のチャンスだと思って購入しました」と、愛車を手に入れたときのことを話すオーナー。その思い切りの良さが功を奏したのか、入手してからの約6年間で大きなトラブルはなし。ただし、純正パーツが手に入りづらいことがネックなようで、テンションプーリーはワンオフで製作してもらったとか。
そして最後に「細かいトラブルはあるけれど、スタリオンは最高のクルマですね」と付け加えた。
2.6L直列4気筒SOHCターボのG54B型は、最高出力175psを発揮。GSR-Vに搭載されるシリウスDASHと比べると5psしかアドバンテージはないが、ロングストロークのため低回転から太いトルクを発生させる。
>> カムカバーとブレーキのマスターシリンダーに挟まれるように収まるタービンは、純正装着の三菱製TD05タービン。
>> フロントバンパー後方には、純正の大型インタークーラーとオイルクーラーが設置。
1989年式 スタリオン 2600 GSR-VR(A187A)
SPECIFICATION 諸元
全長×全幅×全高(mm) 4410×1745×1320
ホイールベース(mm) 2435
トレッド前/後(mm) 1465 / 1425
車両重量(kg) 1320
エンジン型式 G54B型
エンジン種類 直列4気筒SOHCターボ
総排気量(cc) 2555
ボア×ストローク(mm) 91.1×98.0
圧縮比 7.0:1
最高出力(ps / rpm) 175 / 5000
最大トルク(kg-m / rpm) 32.0 / 3000
変速比 1速 3.400 / 2速 2.016 / 3速 1.345 / 4速 1.000 / 5速 0.856 / 後退 3.578
最終減速比 3.545
ステアリング ボールナット
サスペンション ストラット(前後とも)
ブレーキ ベンチレーテッドディスク(前後とも)
タイヤ前/後 205 / 55R16 / 225 / 50R16
発売当時価格 302.5万円
初出:ハチマルヒーロー 2016年 1月号 vol.33
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)
1989年式 三菱 スタリオン 2600 GSR-VR(全3記事)関連記事:我が青春のリトラクタブル 関連記事: スタリオン 【1】【2】から続く