ボディ以外で再使用できたのはダッシュボードのみ! ゼロからのスタートとなったレストア|1972年式 日産サニー クーペGL Vol.3

水没からよみがえったB110クーペ。

       
【1972年式 日産サニー クーペGL Vol.3】

【2】から続く

 サニーにほれ込んだオーナーが進めたレストア。

 それはゼロからのスタートであったのが奏功しているのかもしれない。純白のキャンパスに好きな絵を描くかのごとく、オーナーのコダワリが詰まっている。

 まず外装を見てみると、FRP製の前後バンパーはブラックアウト。リップスポイラーやC10スカイライン用フェンダーミラーで当時風の雰囲気を再現している。TS仕様より小振りというリアスポイラーもお気に入りだ。

 エンジンはサニトラ用A12型をベースに、B310用のヘッドを組み合わせている。こちらは楕円ポート仕様のため充填効率がよく、高出力化を狙えるからだ。腰下もボーリングをして1.3L用の鍛造ピストンやH断面コンロッドを組み込んだ。その結果、イザとなれば9000rpmまでブン回せるA12型改に生まれ変わった。

 足回りに、S130Zのストラットをベースに車高調化。しかも、ブレーキごと移植することで制動力の向上にも抜かりはない。また、あえてブラックアウトしたロールバーやマーチ用のグリーンメタリックにオールペイントしたボディなど、各部に見どころ満載の1台に仕上がっている。
 
 まさに奇跡の復活をとげたB110クーペ。これを実現できたのも、オーナーの揺るぎないクルマへの情熱とコダワリがあってこそ、といえるだろう。


ボディ以外で唯一再使用できたというダッシュボード。オーディオパネルにインストールされた大森の3連メーター(水温、油温、油圧計)など【写真22枚】





ボディ以外で唯一の再使用できたというダッシュボード。水びだしになったフロアカーペットや内張はすべて廃棄した。ステアリングは王道外しのモトリタの本革巻き3本スポーク。





クアトロスポーツのフルバケにタカタ製ハーネスの組み合わせ。当時モノの4点式ロールバーはあえて黒くペイントしている。





純正メーターの位置にはルーカス製の1万rpmスケールのタコメーターを装着。



1972年式 日産サニー クーペGL(KB110)
SPECIFICATIONS 諸元
● エクステリア:サウスコーポレーションリップスポイラー/
ワープ製FRPバンパー/社外リアスポイラー/C10用スカイラインショートノーズ用
 フェンダーミラー/北米仕様テールランプ/シビエヘッドライト/
 オールペイント(サングロウグリーン)
● エンジン:А12型改1.3L仕様/А14型ヘッド/鍛造ピストン、H断面コンロッド、
74度ハイカム、強化バルブスプリング/東名自動車ヘッドカバー/インマニ/
ウエーバー40DCOE/ワープ製タコ足、マフラー/B122サニトラ後期用デスビ
● 駆動系:B310前期用60Aローバックオーバードライブ5速ミッション/
マーチスーパーターボ用強化クラッチ/B122サニトラデフホーシング流用
● 足回り:S130Z用ストラット改車高調(KYBショートストロークダンパー)、レース用リーフスプリング
● ブレーキ:S130Z用ブレーキ&キャリパー流用
● タイヤ:ブリヂストンプレイズ 175/50R13
● ホイール:クロモドラ (F)13×6J (R)13×7J
● 内装:モトリタステアリング/大森メーター(油温、水温、油圧)/ルーカスタコメーター/
クワトロスポーツバケットシート/タカタ4点式ハーネス/4点式ロールバー/安全タンク



初出:ノスタルジックスピード 2015年11月 Vol.008(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1972年式 日産サニー クーペGL(全3記事)

関連記事:4気筒モンスター列伝

関連記事: サニー

text : DAISUKE ISHIKAWA / 石川大輔 photo : MOTOSUKE FUJII(SALUTE) / 藤井元輔(サルーテ)

RECOMMENDED

RELATED

RANKING