いわゆる「ローバック」と呼ばれるゆえんとなったシフトパターン|1972年式 日産サニークーペ1200 GX5 Vol.2|痛快スポーツモデル

いわゆる「ローバック」と呼ばれるゆえんとなったシフトノブ。通常の1速の位置がバックだ。

       
【1972年式 日産サニークーペ1200 GX5 Vol.2】

Vol.1から続く

1966年元旦の新聞に、日産から1Lクラスの新型車が発売されるにあたり、車名を一般公募す

 B110サニーのスポーティーグレードとして、SUツインキャブを装着した「GX」が1970年4月に追加ラインナップ。さらに、1972年8月には、5速ミッションを搭載する「GX5」が新たに追加された。

GX5らしくスパルタンな雰囲気のダッシュやメーターパネルなど【写真7枚】

 このグレード名の「5」というのは、新たに採用された直結5速のミッションの意味で、通常は5速がオーバードライブとなる設定に対し、5速が通常の4速と同じ1:1となるクロスレシオのギア比を採用。また、シフトパターンも特徴的で、左手前が1速で、通常の1速の位置がバックギアなことから、「ローバック」や「ヒューランドタイプ」と呼ばれた。

 この直結5速のミッションは、「F5C56A」タイプで、B110サニーGX5にのみ採用されたことから、GX5は、現在でも高い人気を誇っている。



クーペのほか、4ドアのGX5もラインナップ

 B110サニーGX5というと、レースシーンで活躍したイメージが強く、2ドアクーペしかラインナップしていなかったように思われるが、1972年8月のマイナーチェンジ時には、4ドア1200 GX5もラインナップしており、カタログにも写真が掲載されていた。ただし、2代目B110サニーのモデル末期での登場だったため、73年5月には3代目のB210系へフルモデルチェンジ。わずか9カ月間の短命となった。しかも、スポーティーなイメージが高いクーペに人気が集まり、4ドアGX5の販売は少数だった。そのため現存数はわずかで、出合う確率も低い。

Vol.3に続く


1972年式 日産サニークーペ1200 GX5(B110)
SPECIFICATIONS 主要諸元
●全長 3825mm
●全幅 1515mm
●全高 1350mm
●ホイールベース 2300mm
●トレッド前/後 1240/1245mm
●最低地上高 170mm
●室内長 1620mm
●室内幅 1270mm
●室内高 1095mm
●車両重量 705kg
●乗車定員 5名
●最高速度 160km/h
●登坂能力tanθ 0.53
●最小回転半径 4.1m
●エンジン型式 A12型
●エンジン種類 水冷直列4気筒OHV
●総排気量 1171cc
●ボア×ストローク 73.0×70.0mm
●圧縮比 10.0:1
●最高出力 83ps/6400rpm
●最大トルク 10.0kg-m/4400rpm
●変速比 1速 3.757/2速 2.374/3速 1.659/4速 1.254/5速 1.000/後退 4.040
●最終減速比 3.900
●燃料タンク容量 38L
●ステアリング形式 リサーキュレーティングボール
●サスペンション前/後 ストラット・コイル独立/半楕円リーフリジッド
●ブレーキ前/後 ディスク/ドラム
●タイヤ前後とも 6.00-12-4PR
●発売当時価格 65.5万円


初出:ノスタルジックヒーロー 2014年7月号 Vol.163(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1972年式 日産サニークーペ1200 GX5(全3記事)

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photo : MOTOSUKE FUJII(SALUTE)/藤井元輔(サルーテ)

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