「あそこの解体屋にトヨタ1600GTが置いてあるよ」それが隠れた名車との出合い!?|1968年式 トヨタ1600 GT5 Vol.1

七宝焼きの技法を模して作られた、リアピラーの下部に付くエンブレム。

       
【1968年式 トヨタ1600 GT5 Vol.1】

1965年4月に登場したトヨタスポーツ800、1967年5月に発売となったトヨタ2000GT。

この2台のクラシック・トヨタは、今なお多くのファンの支持を得て、国産名車として広く知られる存在となっている。トヨタ86の誕生ストーリーの中には、この2台の存在を強く意識して開発されたことが明記されていた。

 しかし、トヨタが誇るべき名車は、ヨタハチと2000GTだけではない。ハードトップボディを持ち、水冷直列4気筒DOHCエンジンをトヨタ車で初めて搭載し、1967年8月に発売されたトヨタ1600GTも、現在に連なるトヨタ・スポーツモデルの礎として、忘れてはならないクルマだと言える。

 取材車両のオーナーである野﨑喜文さんは、38年前にこの個体を手に入れた。だが出合いの場は、このクルマには似つかわしくないところだった。

「私の会社に来ていた旧車の好きな人が『あそこの解体屋にトヨタ1600GTが置いてあるよ』と教えてくれました。そういうクルマが存在していたことは知っていましたが、どこを見れば1600GTであると判別できるのかが分からないくらい、私にはこのクルマに対する知識がありませんでした」

 だが興味を持った野﨑さんは、さっそく教えられた解体屋に行ってみた。ボディの色も褪せて状態は決してよくなかったが「1、2年乗ることができればいいか」と軽い気持ちで購入を決め、自宅まで運んできたのだ。

当然だが、このときは取材車両の様にピカピカにするなんて思いもしなかったという。

Vol.2/3に続く


「よく町で見かけるクルマ」のボディをまとっていたが、中身はスポーツカー。


水冷直列4気筒DOHC、1587ccのトヨタ9R型エンジンが鎮座。このパワープラントがトヨタにとって、最初の1.6L4気筒DOHCだ。ミクニソレックスキャブを装着したため、ブレーキマスターバックがエンジン房内の左側(写真では右側)に移されているのが特徴。


スポーツモデルでありながら、ウッドステアリングが採用されていた1600GT。取材車両はGT5なので写真の位置からシフトレバーが出ているが、4速ミッションのGT4は、100mmほど前から斜めにシフトレバーが出ていて、両モデルの識別点となる。



店頭販売時にはコロナHT 1600Sと同じデザインのホイールキャップが装着されていた。しかし当時、多くのオーナーがすぐに取り外してしまい、鉄チンホイールだけの状態で乗り回していた。



フロントグリルには車名を表す1600GTのエンブレム。


トランクリッド中央にTOYOTAのバッジ。

1968年式 トヨタ1600 GT5
●全長4125mm
●全幅1565mm
●全高1375mm
●ホイールベース2420mm
●トレッド前/後1290/1270mm
●最低地上高180mm
●室内長1530mm
●室内幅1290mm
●室内高1125mm
●車両重量1030kg
●乗車定員4名
●最高速度175km/h
●登坂能力sinθ0.470
●最小回転半径4.95m
●エンジン型式9R型
●エンジン種類水冷直列4気筒DOHC
●総排気量1587cc
●ボア×ストローク80.5×78.0mm
●圧縮比9.0:1
●最高出力110ps/6200rpm
●最大トルク14.0kg-m/5000rpm
●燃料供給装置ソレックス40PHH×2
●変速比1速3.143/2速1.636/3速1.179/4速1.000/5速0.844/後退3.238
●最終減速比4.375
●燃料タンク容量45L
●ステアリング形式リサーキュレーティング・ボール式
●サスペンション前/後独立懸架コイルバネ/半楕円非対称板バネ
●ブレーキ前/後ディスク/リーディングトレーリング
●タイヤ前後とも6.45S-14-4PR
●発売当時価格100万円

ノスタルジックヒーロー 2013年2月号 Vol.156(記事中の内容はすべて掲載当時のものです)

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text:Nostalgic Hero/編集部 photo:Isao Yatsui/谷井 功

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