2代目モンスター SEL 6.9【前編】AMGリップを装着した最強のスーパーセダン|1978年式 メルセデス・ベンツ 450 SEL 6.9

外観のデザインは、上質セダンらしい典型的な箱形スタイルにまとめられている。全長4960mm(標準ボディ)、全幅1870mmと長くてワイドな設定だが、ステアリングの切れ角がワイドな設定で、しっかり車輪が内側に向くことから信じられないほど小回りが利く

       
【欧州名車列伝|1978年式 メルセデス・ベンツ 450 SEL 6.9 前編】

130年を超える歴史を誇るメルセデス・ベンツは、技術面においては常に世界最先端を突き進んできた。その歴代モデルのキャラといえば、いつの時代も良識派。高度な快適性や安全性を最優先したモデルが、果てなき栄光を築き上げてきたといえるだろう。

しかし、そんなメルセデス・ベンツの歴史の中でも、ごく少数ながらいささか狂気じみたモンスターが存在してきた。その最たる例が、1968年に登場した300 SEL 6.3だ。さらに、その後継車として75年にデビューした450 SEL 6.9である。

【画像14枚】初代Sクラスのグリルは1960年代の縦目仕様のものより、やや平たいデザインとなっている。メルセデスを代表する美しいグリルとなっている。バンパー下のフロントリップは、AMG製のものが装着されている。実はこのモデルにはAMG仕様も設定されており、ルックスをスポーティーに味付けすることが可能だ

1970年代初頭、受動安全性の向上にまつわる技術開発のため、全世界の自動車メーカーで「ESV(実験的安全車両)」と呼ばれるテスト車両が製作された。ダイムラー・ベンツ社は最も実践的なメーカーで、そこで得られた成果を投入したW116系 Sクラスを72年に登場させることになる。

ところがW116系の誕生によってW108/109系(いわゆるタテ目ベンツ)がフェードアウトすれば、一部のコアなファンを獲得ていた300 SEL 6.3も生産中止を余儀なくされる。そこで、怪物の称号を継承する後継車として75年に誕生したのが、450 SEL 6.9なのである。



>>全長は約5mと実に大きい。ホイールベースも286mmと長めの設定となっており、直進安定性は素晴らしい。Sクラスならではのサイズ感だ。

text:Hiromi Takeda/武田公実 photo:Akio Hirano/平野 陽

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