右からブレーキ、アクセル、クラッチという特徴的なペダルレイアウト|1938年式 ダットサン17型ロードスター【3】

ステアリングは後年に作られた物が付いている。運転席前にも小物入れがある

日本最初の本格的量産車両であるダットサンの中でも2座の高級車として登場した17型ロードスター。
林さんのコレクションから、当時の姿を残す個体を紹介する。

【林コレクション 1938年式 ダットサン17型ロードスター vol.3】

【画像34枚】右からブレーキ、アクセル、クラッチという特徴的なペダルレイアウト

後の日産自動車となる戸畑鋳物株式会社(現在の日立金属)の一部門であった自動車部が、ダット自動車製造を傘下としたのは1931年。

しかし実際にダットサンの製造権を戸畑鋳物が譲り受けたのが1933年となる。
この時からダットサンは生みの親の手から育ての親である日産へと委ねられ、本格的な量産体制に入っていく。

純国産車として初の量産車ダットサン。
このことも重要ではあるが、記録としては残っていても、実車がほとんど残っていないクルマが多い中で、ダットサンだけが現在も決して少なくない数の実車が現存しているということは、ダットサンが市場に広く受け入れられたことの証しである。

明治期から先達たちが築き上げてきた自動車市場の熟成や、国策としての日本車奨励といった時代背景もあるだろうが、日産のすごさはその販売戦略の巧みさだろう。
東京銀座にショールームを置き、国民的スターであった水の江瀧子を宣伝に使った。
一部の好事家のみならず、一般の人たちにとってもダットサンは華々しく見えたはずだ。これが今日まで続く日産自動車の礎となった。

【4】へ続く




>>木骨のシートは持ち上げるだけで外すことができる。中はこのように物入れとなっている。
【画像34枚】画像をすべて見る

初出:ノスタルジックヒーロー 2019年12月号 Vol.196
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1938年式 ダットサン17型ロードスター(全5記事

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text:Ryousuke Igarashi/五十嵐竜介  photo:Junichi Okumura/奥村純一 cooperation:Munehisa Mishige/三重宗久

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