旧カレラRSの後継車「911カレラRS」が登場。スペックが良くなる一方、快適装備の一部は標準装備化|ハチマルユーロー【2】1995年式 ポルシェ 911 カレラRS

フロントスポイラーもRSクラブスポーツ用が標準装備される

【1】から続く

ポルシェ911系は、1973年に「73カレラRS」で初登場したが、わずか2年後に途絶える。1992年に911から964に進化して帰ってきたが、2000台の限定生産のみで幕を閉じた。

【ハチマルユーロー第22回 1995年式 ポルシェ 911 カレラRS vol.2】全ての画像を見る

空冷911ハードコアモデルのファイナルアンサー

 新時代のポルシェ911となった993シリーズは、1980年代後半に「将来の911」の指標として開発・限定生産された959や、89年に発表されたコンセプトカー「パナメリカーナ」で実験されたデザイン言語が導入されたモデル。後輪に採用されたマルチリンク式サスペンションのスペースを確保すべく、リアフェンダーは大幅に拡幅。フラット6エンジンは964時代の3.6Lが踏襲されるが、272ps/33.6kg‐mに強化されるとともに、MT版のトランスミッションは964までの5速から6速へとアップグレードされた。

 そして、993系における旧カレラ2RSの後継車となるハードコアモデルは「911カレラRS」を名乗り、1995年秋にデビュー。96年モデルのみが生産された。この993RSは、従来の限定モデルから正式なカタログモデルへと昇格。RS専用となる「バリオラム」機構付きM64/20型エンジン(3.8L/300ps)を搭載し、6速MTと組み合わせる。

 ただし軽量化については、964時代から若干のトーンダウン。後席の省略やトリムの簡略化、アンダーコートを最小限にするなどに留まり、エアコン、パワーステアリングを筆頭とする快適装備の一部は標準装備化。スパルタン志向は正式グレードとして新設された「RSクラブスポーツ」に一任されることになる。

 このクラブスポーツは、964時代と同じく内装材をすべて省いて軽量化を図る一方、マター製のロールケージを装備するなど、サーキット指向が強められたモデルだが、残念ながら日本には正規導入されることはないまま、標準RS(ストリートバージョン)ともども、96年のみの生産に終わってしまった。
【画像16枚】RSは「レン・シュポルト=レーシングスポーツ」の意。イグニッションスイッチには、日本のレーシングコンストラクター「apr」のポジションシール。ポルシェ愛好家の間では人気だそうだ



>>スパルタンな雰囲気があふれるコックピット。



>>ドアはこのストラップを引っ張って開く。もちろん軽量化のためで、カレラRSでは定番装備。

主要諸元 SPECIFICATIONS
1995年式 ポルシェ 911 カレラRS


全長×全幅×全高(mm) 4245×1730×1270
ホイールベース(mm) 2270
トレッド(mm) 1410/1455(前/後)
車両重量(kg) 1320
エンジン種類 空冷水平対向6気筒SOHC12バルブ
総排気量(cc) 3745
内径×行程(mm) 102.0×76.4
圧縮比 11.3:1
最高出力(ps/rpm) 300/6500
最大トルク(kg-m/rpm) 35.5/5400
サスペンション前/後 マクファーソンストラット・タイプ・アクスル+コイル/マルチリンク・サスペンション LSAシステム式
ブレーキ 前後ともベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ 前225/40ZR18 後265/35ZR18

【3】へ続く

1995年式 ポルシェ 911 カレラRS(全3記事)
初出:ハチマルヒーロー 2017年9月号 Vol.43

ハチマルユーロー Volume.22
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)
関連記事:ハチマルユーロー

TEXT:HIROMI TAKEDA/武田公実 PHOTO:DAIJIRO KORI/郡大次郎

RECOMMENDED

RELATED

RANKING