【2】雑誌で見て全身に震えが走った。そして10年後、日本にその個体があることを知った|1992年式 シュトロゼック911メガ・スピードスターRS

ステアリングは3本スポークだが、964とは違うもの。ホーンボタンにシュトロゼックのエンブレムが付く。伝統の5連メーターは健在。メーターリムがメッキになっており、パネル面はカーボンとなっている。ミッションは5速MT。もちろんエアコンなどの装備は存在しない

「彼女のカレラ」でおなじみの漫画家麻宮騎亜さん。ハチマルヒーロー読者の世代では「サイレントメビウス」の方がなじみ深いだろうか。そんな麻宮さんのクルマもまた主人公の轟麗菜と同じくポルシェ。しかし、彼のポルシェはただものではなかったのだ。

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ボディ色はポルシェ純正設定(特別色で追加オプション扱い)のルビーストーンレッド。パーツのほとんどがオリジナルで作り直されたフルコンバージョン車両で、ボンネットとエンジンカバー以外は全てカーボンとFRPで作り直されたもの。その証拠に、オリジナルのカレラではありえないほどボリュームアップされたフェンダーからの膨らみは自然な形でリアへと流れており、オリジナルよりはるかに強調されたシルエットを持つ。911の特徴であるヘッドライトを小さくし、フォグやランプ類は完全に埋め込んだ形に。

最も独特なルーフは完全に別パーツとなっており、シュトロゼックのアイデンティティーを確立させるものとなっている。もちろんこのままでは剛性に欠けるため、ロールケージを組むことによって補強。そのため内装はレーシーな雰囲気を持つ。

オーナーの麻宮騎亜さんは、88年に漫画「サイレントメビウス」で一躍スターダムに上り詰めた漫画家。当時はアニメーターとしても活躍し、「Zガンダム」や「北斗の拳」に参加。人気アニメーターとしての地位も確立していた。

そんな彼とシュトロゼック911との出合いは、雑誌「スペシャルカーズ」に掲載された93年のジュネーブ・オートサロンの記事だった。それから10年が経ったある日、日本でこのショーに展示された個体があることを知る。当時手に入れることなんて考えもつかなかったクルマが手に届く距離にあることを知り、全身に震えがきたという。

【画像16枚】シートはホールド性の高い当時最新のレカロを装着。オリジナルの964も形状が違うレカロ。レカロとポルシェの歴史的関係性から考えると、この組み合わせ以外は考えられない。室内にはロールケージが張り巡らされる。ルーフにはカーボンが


>>あまりに平坦なドア内側の形状。カーボンの内張りによって室内中がカーボンで覆われたような状態に。


>>シュトロゼックの特徴的ホイールである5ホールホイールは18インチのシュトロゼック・アエロでサイズはフロントが9J、リアが10J。


>>フューエルリッドには麻宮さんがデザインした注意書きステッカー。

【3】へ続く


初出:ハチマルヒーロー2017年1月号 vol.39
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1992年式 シュトロゼック911メガ・スピードスターRS(全3記事)

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