新システムの導入、エンジンのスポーツユニット化によりWRCでも優勝を狙える卓越した「速さ」を見せる。|1989年式 三菱 ギャラン 2.0 DOHC ターボ VR-4【2】

205psでスタートした4G63型DOHCターボは、89年のマイナーチェンジで220psに、90年10月の改良でタービンを変更するとともにインタークーラーを大型化して240psにまで高められた

【1】から続く

1967年に三菱はラリーに初参戦し、1972年には初優勝をした。その後も連覇を成し遂げ、ラリーは三菱の代名詞となった。一方1980年にWRCはグループBからグループAへ規定を移行したことをキッカケに三菱は苦戦した。グループAでの勝利を目指すために開発されたのが6代目ギャランVR-4だった。

【最強の系譜 4WD+ターボ  1989年式 三菱 ギャラン 2.0 DOHC ターボ VR-4 vol.2】

 まずエンジンは2L直列4気筒の4G63型で、VR-4用に4バルブDOHC化されたスポーツユニットに変貌。ここに三菱重工製TD05ターボチャージャーを組み込んだ。これは従来のTC系とは異なり、専用開発された小型軽量のハイフロータービンで、最大過給圧は0.77kg f/平方cm。プレミアムガソリン仕様で205ps/30.0kg‐mのスペックを誇った。

 このハイパワーを支えるのが、ビスカスカップリング式センターデフを採用したフルタイム4WD。通常、前後50対50のトルク配分を前後輪の差動が生じた場合、最適に自動制御することで確実な駆動力を得ることができるシステムだ。ちなみにこの4WDシステムには、専用の4センサー4輪ABSも組み込まれている。

 そして4IS(4輪独立懸架)と4WS(4輪操舵)である。VR-4のサスペンションは前ストラット、後ろが専用設計のダブルウイッシュボーン。このリアサスは前後方向に伸びるトレーリングアーム先端に中間関節が設けられているのが大きな特徴で、ここを油圧制御で屈曲させ後輪を操舵するのが4WSだ。VR-4の4WSは同位相操舵(前輪と同方向に後輪を操舵)のみで、後輪最大操舵角1.5度。この足まわりが駆動力を確実に路面に伝え、卓越した「速さ」を見せたのだった。

【画像17枚】シフトノブとシフトブーツはナルディ製で統一している。デビュー当初は5速MTのみの設定だったVR-4だが、89年のマイナーチェンジ時にAT仕様(210ps)を追加している。マフラーはフジツボ・レガリス。かなり太いマフラーを装着している個体が多いが、この個体の適度な太さと音量はハチマル的には◎



>>ホイールはランサーエボリューションⅢ純正のOZに変更している。



>>205psでスタートした4G63型DOHCターボは、89年のマイナーチェンジで220psに、90年10月の改良でタービンを変更するとともにインタークーラーを大型化して240psにまで高められた。


ギャラン 2.0 DOHC ターボ VR-4(E39A)主要諸元
全長×全幅×全高(mm) 4560×1695×1440
ホイールベース(mm) 2600
トレッド前/後(mm) 1460/1450
車両重量(kg) 1380
エンジン型式 4G63型
エンジン種類 直列4気筒DOHCターボ
総排気量(cc) 1997
ボア×ストローク(mm) 85.0×88.0
圧縮比 7.8:1
最高出力(ps/rpm) 220/6000
最大トルク(kg-m/rpm) 30.0/3500
変速比 1速2.846/2速1.684/3速1.115/4速0.833/5速0.666/後退3.166
最終減速比 4.933
ステアリング ラック&ピニオン
サスペンション前/後 ストラット/ダブルウイッシュボーン
ブレーキ前/後 ベンチレーテッドディスク/ディスク
タイヤ 195/60R15(前後とも)
発売当時価格 273.6万円

【3】へ続く

1989年式 三菱 ギャラン 2.0 DOHC ターボ VR-4(全3記事)
初出:ハチマルヒーロー 2017年5月号 Vol.41

(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

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TEXT:Rino Creative/リノクリエイティブ PHOTO:AKIO HIRANO/平野陽

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