WRC制覇とヒット映画「私をスキーに連れてって」に登場し、大人気車両へ|1986年式 トヨタ セリカ 2000GT-FOUR【2】

3分割の大型カラードリアスポイラーは、GT-Rなどと同じデザイン。なお、前期のリアガーニッシュはブラックだが、GT-FOURのみカラードとなる。

【1】から続く

革新的な技術が進歩した1980年代。その中でもフルタイム4WDがこのときに導入された。GT-FOURもその技術が搭載されたクルマの一つである。フルタイム4WDを搭載したことにより、スムーズかつ高次元のコーナリングを実現した。

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 走りのパフォーマンスを高めるための新メカニズムがいくつも採用されたGT-FOURは、WRC(世界ラリー選手権)でも大活躍した。初めて実戦に投入されたのは、88年の第5戦ツール・ド・コルス。当時のWRCはランチア・デルタが圧倒的な速さを見せつけ、GT-FOURの前に立ちはだかった。しかしトヨタは、開発力の高さとGT-FOURの素性の良さを生かし、翌年の第10戦オーストラリアラリーで初優勝を飾ると、その後はランチアと互角以上の戦いを見せる。そして90年には、カルロス・サインツが日本車初のドライバーズタイトルを獲得。デビュー当初は、ランチアと大きな差があったGT-FOURだったが、約2年という短期間でその差を詰めてしまったのである。

 こうしたWRCでの活躍は、多くの読者が記憶していることだろう。その一方で硬派なイメージとは反対に、当時一大旋風を起こした映画に登場したことでも知名度が急上昇。それが、87年に公開された「私をスキーに連れてって」だ。雪上を走り回るセリカGT-FOURは、映画のヒットと比例して人気も急上昇。WRCのイメージとともに、同映画のイメージも植え付けたのだ。  なおGT-FOURは、その後T180系、T200系にもラインナップされ、計3世代に渡ってセリカを象徴するグレードとして人気を集めた。

【画像22枚】タービンは7M-GT型にも採用されるCT26型。ただし3S-GT型では、排気量を考慮してA/Rを小さくした低回転向きの仕様としている。水冷インタークーラーのサブラジエターは、フロントコアサポート前方にレイアウトされる。走行風が効率よく当たる場所だ



>>GT-FOURではステアリングセンターパッドのデザインを変更。また、ボディカラーがスーパーホワイトⅡの場合、他グレードでは内装色がディープブルーだったが、GT-FOURはシャドーグレーとなった。



>>パーキングブレーキ横にあるのが、センターデフロックスイッチと新8ウェイスポーツシートの電動サイドサポート&ランバーサポートのスイッチ。



>>シートはモケットと本革のコンビ。バックレスト側面にはメッキのパイピングが施されているが、これは前期のみで、後期では省かれた。

トヨタ セリカ 2000GT-FOUR(ST165)
全長×全幅×全高(mm) 4365×1690×1295
ホイールベース(mm) 2525
トレッド前/後(mm) 1465/1440
車両重量(kg) 1350
エンジン型式 3S-GTE型
エンジン種類 直列4気筒DOHCターボ
総排気量(cc) 1998
ボア×ストローク(mm) 86.0×86.0
圧縮比 8.5:1
最高出力(ps/rpm) 185/6000
最大トルク(kg-m/rpm) 24.5/4000
変速比 1速3.583/2速2.045/3速1.333/4速0.972/5速0.731/後退3.583
最終減速比 4.285
ステアリング ラック&ピニオン
サスペンション ストラット(前後とも)
ブレーキ(前/後) ベンチレーテッドディスク/ディスク
タイヤ 195/60R14(前後とも)
発売当時価格 297.6万円

【2】へ続く

1986年式トヨタ セリカ 2000GT-FOUR(全3記事)

初出:ハチマルヒーロー 2017年5月号 Vol.41

(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

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TEXT:Rino Creative/リノクリエイティブ PHOTO:HIROTAKA MINAI/南井浩孝

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