「このクルマで志賀高原と万座温泉に行くのが夢です」やっとの思いで手に入れた前期GT-FOUR|1986年式 トヨタ セリカ 2000GT-FOUR【3】

右から前期GT-FOUR、後期GT-R、後期GT-FOUR(’89WRCレプリカ)と並ぶオーナーのセリカコレクション。このほかに前期GT-Rもあるが、取材当時レストア中だったそうだ

【2】から続く

新メカニズムを搭載したGT-FOURは、1988年にWRC(世界ラリー選手権)に出場した。最初こそいい結果は出なかったものの、翌年には初制覇を成し遂げた。同時期に公開された『私をスキーに連れてって』の映画内にGT-FOURが登場したことにより、GT-FOURの人気は高まった。

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 オーナーは、その筋では有名な超セリカマニア。現在は取材車両のほかに、後期GT-FOURと、前期/後期GT-Rという計4台のセリカを所有している。しかし平成生まれのオーナーが、どうしてセリカにのめり込んだのだろうか。そのきっかけとなったのが、前ページでも触れた映画「私をスキーに連れてって」だ。4歳のとき自宅で同映画のビデオを見て、「カッコいい」とひと目ぼれ。それ以来セリカと同映画のとりこになり、免許を取得したら劇中車と同じ前期GT-FOURを手に入れると決心した。

 そして、免許取得後間もなくしてセリカを購入。しかしそれは、後期GT-Rだった。しばらくはそれに満足していたオーナーだが、GT-FOURへのあこがれは払拭できず、その後も車両を探すことに。そして約3年半後に、念願のGT-FOURを手に入れたのだ。ただし、その個体も上田さんが欲しかった前期ではなく後期。それゆえ、ターボ+フルタイム4WDの走りを楽しみつつも、前期GT-FOUR探しは継続して行われた。

 その間に知人から部品取りとして前期GT-Rを入手。しかし、状態が良く部品取りにするにはもったいないということで実動車に変更。そして約2年前に今回の取材車両を知人から譲り受け、晴れてあこがれ続けた前期GT-FOURのオーナーになった。

 このような経緯で、現在オーナーの手もとには4台のセリカがあるわけだが、一時期は1600GTや1800STも所有。そして、コンバーチブルを手に入れればT160系セリカ全制覇となるだけに、このままセリカ道を極めていただきたい。

【画像22枚】シンプルな大径2眼メーターはGT-Rなどと同じ意匠。ただし右下にあった電圧計は、センターデフのインジケーターに変更された。なお、オプション設定されていたデジタルメーターの設定はなし。シートはモケットと本革のコンビ。バックレスト側面にはメッキのパイピングが施されているが、これは前期のみで、後期では省かれた



>>水冷式インタークーラーが目立つ3S-GTE型。この個体は全オーナーがオーバーホールをしており、コンディションも良さそうだ。



>>タービンは7M-GT型にも採用されるCT26型。ただし3S-GT型では、排気量を考慮してA/Rを小さくした低回転向きの仕様としている。


OWNER’S VOICE
このクルマで志賀高原と万座温泉に行くのが夢

オーナーは、とにかくセリカが好き。さらに、それにも増して『私をスキーに連れてって』が大好きなのだ。取材当時も「ちょっと小物を持ってきました」と言いつつ劇中に登場した”SALOT(サロット)”のスキー板とラングのブーツを取り出し、ルームミラーにはさりげなくストップウォッチが……。そして「このGT-FOURで志賀高原と万座温泉にいくのが夢です」というのも、私スキ&セリカ好きのオーナーらしい発言だった。



トヨタ セリカ 2000GT-FOUR(ST165)
全長×全幅×全高(mm) 4365×1690×1295
ホイールベース(mm) 2525
トレッド前/後(mm) 1465/1440
車両重量(kg) 1350
エンジン型式 3S-GTE型
エンジン種類 直列4気筒DOHCターボ
総排気量(cc) 1998
ボア×ストローク(mm) 86.0×86.0
圧縮比 8.5:1
最高出力(ps/rpm) 185/6000
最大トルク(kg-m/rpm) 24.5/4000
変速比 1速3.583/2速2.045/3速1.333/4速0.972/5速0.731/後退3.583
最終減速比 4.285
ステアリング ラック&ピニオン
サスペンション ストラット(前後とも)
ブレーキ(前/後) ベンチレーテッドディスク/ディスク
タイヤ 195/60R14(前後とも)
発売当時価格 297.6万円

【1】【2】から続く

1986年式トヨタ セリカ 2000GT-FOUR(全3記事)

初出:ハチマルヒーロー 2017年5月号 Vol.41

(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

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TEXT:Rino Creative/リノクリエイティブ PHOTO:HIROTAKA MINAI/南井浩孝

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