当時のことを知るスタッフが現存しておらず、わからずじまいだった制作の目的|1986年式 日産 レパード XS-Ⅱ コンバーチブル【2】

市販目的ではなく放送宣伝用車両として製作された可能性が高い

【1】から続く

1980年代の自動車技術のトレンドは、現代の技術につながる電子制御であった。そう、この頃に電気仕掛け時代が幕を開けたのだ。

【1986年式 日産レパードXS-Ⅱ vol.2】

 さてこの車両だが、製作したのは愛知日産。当時のことを知るスタッフが現存しておらず、なんの目的で製作されたのかは確かめようがないのが実情だ。1986年12月に改造申請をしており、その後1992年までの6年間所有している。愛知県という土地柄、冠婚葬祭やイベント事などに貸し出していたのでは? と推測することもできるが定かではない。その後、売却してしまうのだから、開発目的の謎は深まるばかりだ。

 さて、この時期はバブル景気に日本中が沸き、自動車には趣味性やアメニティが色濃く求められた時代。リアルスポーツというより、国産オープンエアモデルの復活が期待されていた。 

 まさに、電子制御とオープンエアという時代の先端を先取りした存在がこの個体だ。それは、次元を超えた進化を遂げるSUPER HICASや正規の国産オープンカーが復活するわずか数年前のことだった。

【画像20枚】ハンドルにはスイッチ類が多数設置されている。現代においては当たり前だが、もうこの時代から電気制御が搭載されていたのだ。頭頂部分にモーターが仕込まれている3ウェイアジャスタブルショックも搭載されている





>>エンジンは、2.0LのSOHCターボ。155psの出力は、この当時の2.0Lターボエンジンの標準的数値。


>>エキゾーストはデュアルタイプが採用されている。この個体はオリジナルコンディションを維持している。


1986年式 日産レパードXS-Ⅱ

全長×全幅×全長(mm) 4680×1690×1370
ホイールベース(mm) 2615
トレッド前/後(mm) 1435/1435
車両重量(kg) 1370
エンジン型式 VG20ET型
エンジン種類 V型6気筒SOHCターボ
総排気量(cc) 1998
ボア×ストローク(mm) 78.0×69.7
圧縮比 8.5
最高出力(ps/rpm) 155/5600
最大トルク(kg-m/rpm) 21.3/3600
変速比 1速2.842/2速1.542/3速1.000/4速0.686/後退2.400
最終減速比 4.111
ステアリング ラック&ピニオン
サスペンション前/後 ストラット/セミトレーリングアーム
ブレーキ前/後 ベンチレーテッドディスク/ディスク
タイヤ 205/60R15(前後とも)
発売当時価格 特別仕様のため価格不明


【3】へ続く

初出:ハチマルヒーロー 2017年3月号 Vol.40
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1986年式 日産レパードXS-Ⅱ(全3記事)

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TEXT:HACHIMARU HERO/編集部 PHOTO:MOTOSUKE FUJII/藤井元輔(サルーテ)

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