VOLVOミュージアム(閉業)|ボルボの工場跡地に建てられたミュージアムで、ボルボのフィロソフィーを覗いたあの日を振り返る|VOLVOクラシックカー【3】

ボルボ初の量産車が1927年春に登場したÖV4。これに続く右側の乗用車が屋根付きサルーン型のPV4だ。黒いボディには「ヤコブ」の愛称が与えられた。

       

ボルボの工場跡に建てられたのが、ボルボの歴史を凝縮した「ボルボミュージアム」だ。創設期に生み出されたボルボの乗用車から最新モデルまでが展示されている。テーマパーク感覚で楽しめるミュージアムを覗いてみた際の記録を記す。現在は閉業し、2024年4月にワールド・オブ・ボルボがオープンする予定だ。

【VOLVO クラシックカー vol.3】

 ボルボの本拠地、スウェーデンのイエテボリ市の本社近くにはボルボの歴代のクルマやトラックなどを展示したミュージアムが開設されていた。2つのフロアに展示されているのは乗用車だけでない。ボルボが生産し、世界中で使われているトラックやバスなどのはたらくクルマ、そしてペンタの船舶用エンジンなども展示されている。大人だけでなく子どもたちにとっても魅力的なテーマパークだったのだ。

 その様子をふり返ってみてみよう。

 入り口を入ると創設者であるアッサール・ガブリエルソンとグスタフ・ラーソンの出会いから黎明期の作品などをストーリー仕立てで知ることができる。ちなみにボルボの最初の量産車が1927年春に登場したÖV4だ。ÖV4とはオープントップの4気筒エンジン搭載車の意味で、これに続くサルーンのPV4は、1940ccの4気筒は28ps/2000rpmを発生した。

 2階に上がると歴代のボルボ車がきれいに並べられ、ジオラマ風の展示も多い。6気筒エンジンを積む高級車のPV651やタフな走りでオーナーを魅了したワゴンブームの先駆けとなったアマゾンが来場者を迎えてくれる。ワゴンブームの火付け役となったPV445デュエットとスタイリッシュなスポーツクーペのP1800も展示車が多い。また、モータースポーツ参戦車両と試作車のゾーンもある。マニアにとってはワクワクドキドキの連続だ。

 また、ボルボが創業時から掲げている安全設計や安全装備を展示したゾーンも内容が濃い。クルマを観ながら、自然に安全&交通教育、環境保全などに興味を持たせるなど、奥深い自動車文化を感じ取れる展示に驚かされた。

【画像11枚】スウェーデンの本社近くに建てられた、歴代のクルマやトラックが展示されるミュージアム。時代に先駆けてFRP製のオープンボディを採用したP1900など。アメリカ輸出のために開発され、1954年発表された。1956年に輸出を開始したが、67台を生産して終わった幻のオープンカーだ


>> ボルボ初の量産車が1927年春に登場したÖV4。これに続く右側の乗用車が屋根付きサルーン型のPV4だ。黒いボディには「ヤコブ」の愛称が与えられた。


>>1971年にスタイリッシュワゴンの1800ESが登場するが、これはそのプロトタイプだ。67ページの量産モデルと比べると違いがよく分かる。リアはかなり大胆なデザインだった。


>>映画007でロジャー・ムーアと共演し、本人も愛車として乗り続けた2ドアクーペのP1800。エンジンは1.8Lの直列4気筒OHVだが、最終型は2Lとなり、電子制御燃料噴射も登場した。


VOLVO MUSEUM

ボルボ・ミュージアム(閉業)
住所:Arendals Skans, 405 08 Göteborg
営業時間 10:00-17:00(月-金) 
     11:00-16:00(土・日)
e-mail:museum@volvo.com
HP:www.volvomuseum.com

※2024年4月にワールド・オブ・ボルボがオープンする予定


【1】【2】から続く

初出:ノスタルジックヒーロー 2019年6月号 vol.193
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

VOLVOクラシックカー(全3記事)

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text:Hideki Kataoka/ 片岡英明 Cooperation:VOLVO KLASSISK GARAGE/ ボルボ・クラシックガレージ

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