1973年式 ボルボ 1800ES|独特のクーペをベースに誕生したシューティングブレーク|VOLVO クラシックカー 【2】

英国貴族に愛されたスタイルは先進的だった

北欧の家具のように長く使え、安全なクルマづくりを続けている自動車メーカーが、スウェーデンの「VOLVO」だ。創設期から人間尊重の安全主義を掲げてきたボルボの設計ポリシーと神髄に触れるためにクラシック・ボルボのステアリングを握ってみた。

【1】から続く

【VOLVO クラシックカー vol.2】

 2台目に試乗したのは、71年に加わったスタイリッシュな1800ESだ。スポーツクーペのP1800(途中でP1800Sに改名)のルーフを延ばし、個性的なシューティングブレイクに仕立てた。ESは排気量を2Lに拡大した直列4気筒OHVエンジンを積み、これに電子制御燃料噴射装置を装着した快速ワゴンである。ちなみにボルボの木村隆之社長の愛車もESのベースになったクーペの1800Eだ。

 2LのB20型エンジンは130ps/18・0kg‐mを発生する。エンジンは滑らかに回り、応答レスポンスも鋭い。3000回転あたりから気持ちよくトルクが盛り上がった。ESは3速ATだったが、クーペは4速MTだったので守備範囲の広い3速ギアを使って軽やかな加速を引き出せる。加速時のエンジン音も耳に心地よい。

 ちなみにスウェーデンでSUツインキャブを装着した1.8LエンジンのP1800を運転したが、キャブならではのパンチある加速を楽しめた。ハンドリングは、デザインほどスポーティではなく、低速ではステアリングの重さを感じるし、舵を与えたときの動きも鈍いと感じる。が、操っている感じが強く、運転するのが楽しかった。

【画像17枚】専用ボディをまとったボルボのスポーツモデルは少ない。今も多くのファンがスタイリッシュなクーペボディに魅了されている名車が1959年に発表されたP1800だ。名車アマゾンのシャシーを採用し、ホイールベースを150㎜切り詰めて美しいクーペボディを被せている。そのP1800をベースに、71年にボルボ初のスポーツワゴンとして登場したのが1800ESだ。ボルボPV444のシャシーを使ったバンやトラックがPV544。1953年にPV544デュエットが誕生する。これは後ろにトレーラーハウスを付けたキャンピング仕様だ


>>インテリアは質感も高くスタイリッシュ。


>>エンジンは69年に改良されボッシュ製の電子制御燃料噴射装置を装着する2LのB20B型。68年型の1800Sでは、1.8LのB18B型直列4気筒OHVにSUツインキャブを装着していた。ちなみに68年には車名を変えることなく、エンジンを2LのB20B型に換装していた。


>>バカンス用の荷物を積み込むことができるリアのカーゴスペース。


1973年式 ボルボ1800ES

全長4380mm
全幅1690mm
全高1290mm
ホイールベース2450mm
車両重量1180kg
乗車定員3名
最高速度181km/h
エンジン型式B20F
エンジン種類水冷直列4気筒OHVボッシュDジェトロ燃料噴射装置
総排気量1996cc
ボア×ストローク88.9×80.0mm
最高出力130ps/6000rpm
最大トルク18.0 kg-m/3500rpm
変速機3速AT(コラムシフトレバー)
ステアリング形式リサーキュレーティングボール式
サスペンション前/後 ダブルウィッシュボーン式/トレーリングアーム・パナールロッド式
ブレーキ 4輪油圧式ディスクブレーキ
燃料タンク容量45L
ホイール前後とも5.5J×15
タイヤ前後とも185/70HR15
発売当時価格269万円



【3】へ続く

初出:ノスタルジックヒーロー 2019年6月号 vol.193
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

VOLVOクラシックカー(全3記事)

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text:Hideki Kataoka/ 片岡英明 photo:Makoto Inoue/ 井上 誠 Cooperation:VOLVO CAR JAPAN / ボルボ・カー・ジャパン

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