1996年式 ボルボ 940|ベアリングと鉄を表したロゴに見える、「VOLVO」の歴史と誇り|VOLVO クラシックカー 【1】

北欧の家具のように長く使え、安全なクルマづくりを 続けている自動車メーカーが、スウェーデンの「VOLVO」だ。

       

北欧の家具のように長く使え、安全なクルマづくりを続けている自動車メーカーが、スウェーデンの「VOLVO」だ。創設期から人間尊重の安全主義を掲げてきたボルボの設計ポリシーと神髄に触れるためにクラシック・ボルボのステアリングを握ってみた。

【VOLVO クラシックカー vol.1】

社名の「VOLVO」はラテン語で「私は回る」という意味だ。これはベアリングを生産していた会社に由来している。「VOLVO」の文字を円で囲み、右斜めに矢印の付いた社名エンブレムをご存じだと思うが、それはベアリングと鉄を表したものだ。創設は1926年。大手ボールベアリング会社でセールスマネージャーを務めていたアッサール・ガブリエルソンと部下で自動車が大好きだったグスタフ・ラーソンの2人が意気投合し、自動車会社を立ち上げたのだ。

そして27年に記念すべき最初の作品、 ÖV4を送り出している。当時のスウェーデンは極寒の地だっただけでなく道も悪かった。そのため耐久信頼性が大事だと考え、徹底したテストを行い、信頼性を確保したあとに量産に移している。また、エンジニアのためでなく、ユーザーのためのクルマであることを設計哲学、設計理念とし、信頼性とともに安全性についても徹底的にこだわった。このメーカーアイデンティティーは今も変わることがない。

戦後はスタイリッシュな2ドアクーペのP1800で新しいユーザー層を開拓している。また、時代を先取りした安全対策を講じたボルボ144もヒットし、そのエステートモデルとして登場した145はワゴンブームをけん引。その後継モデルが240シリーズで、これに続くのが740と940、そしてFFとなった850シリーズだ。

【画像17枚】開放感あふれるキャビンと広大なラゲッジルームが自慢の940エステート。チャイルドクッションの採用も注目を集めた。1971年にスタイリッシュワゴンの1800ESが登場するが、そのプロトタイプとなる1台も。量産モデルと比べると違いがよく分かる。リアはかなり大胆なデザインだった


1996年式 VOLVO 940
 今回、粋な計らいでボルボ・カー・ジャパンによってレストアされた、古いボルボ車を試乗することができた。最初にステアリングを握ったのは真っ赤なボルボ940だ。

 伸びやかなデザインと一歩先を行く安全設計を武器に大ヒットした740からバトンを受け、1990年に登場したのが940シリーズ。開放感あふれるキャビンと広大なラゲッジルームが自慢だ。チャイルドクッションの採用も注目を集めた。エンジンは2.3Lの直列4気筒で、DOHC4バルブ、SOHC、SOHCターボを設定する。

 ストレート基調のボルボの最後の作品が940で、試乗車は買い得グレードのポラールである。2.3Lの直列4気筒SOHCエンジンには1996年にライトプレッシャーターボが投入された。最高出力は130psと控えめだ。が、ターボの後押しによって低回転から豊かなトルクを発生し、アクセルを深く踏むと力強い加速を披露する。穏やかで素直なハンドリングとしなやかな乗り心地も好印象だった。






>>伸びやかなデザインと一歩先を行く安全設計を武器に大ヒットした740からバトンを受け、1990年に登場したのが940シリーズ。エンジンは2.3Lの直列4気筒で、DOHC4バルブ、SOHC、SOHCターボを設定する。



>>モータージャーナリストの片岡英明さんがクラシックボルボを試乗


【2】へ続く

初出:ノスタルジックヒーロー 2019年6月号 vol.193
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

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text:Hideki Kataoka/ 片岡英明 photo:Makoto Inoue/ 井上 誠 Cooperation:VOLVO CAR JAPAN / ボルボ・カー・ジャパン

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