「オリジナルの初期型セブンを手に入れました」より充実の趣味生活【1】新たにSA22C RX-7を手に入れたロータリーマニア|1978年式 マツダ RX-7

Nosweb 編集部 |2023/05/23 12:45 Facebook Twitter LINE クルマに身を収めること自体が楽しそうなタウザーさん。フル加速させてもフロントが持ち上がることもなく、真っ赤なロケットが飛んで行くような姿がカッコいい

       
取材時からさらに遡ること7年前、このノスタルジックヒーロー本誌連載に登場していただいたロータリーエンジン搭載車マニアのオーナーから、新たにSA22C RX-7を手に入れたという連絡があり、再びリポーターの増井久志さんがオーナーを訪ねた。今も変わらないロータリー車に囲まれての生活。しかし、時の流れとともに複数あった愛車たちにはいろいろな変化があったようだ。その様子をリポートする。

【ニッポン旧車の楽しみ方 第44回 新たにSA22C RX-7を手に入れたロータリーマニア Vol.1】

 友達の友達はみな友達だ。だれしも心の中で密かに描くだけだった友人とのつながりを、目に見えるカタチにしたのが最近はやりのSNS。ニッポン旧車のネットワークも、クルマへの情熱を共にする仲間の間で、文字通り目に見えて広がっていく。

「オリジナルの初期型セブンを手に入れました」
 届いたメッセージの発信者はギャリー・タウザーさんだった。2011年に本誌VOL・147に登場してくれたマツダRX‐2のオーナー。あれから7年たってもなお、タウザーさんの心はやっぱりロータリー一筋、マツダ車に囲まれた生活を送っていた。

「ファーストオーナーが『もう手放すことにした』と言ってポールのショップへ持ってきたんだそうだ。ポールが連絡をくれたから、『引き取る』ってすぐに返事をした。ポールにはいつも助けてもらっているんだよ」


>> 【画像14枚】なかなか広い裏庭の敷地など。そこに建てられたガレージとビニールハウスの合間を通って裏庭の奥を探検すると、裏の塀に沿って背の高さほどの小さなプレハブが2つ。一つはエンジンとトランスミッションが、もう一つにはホイールとタイヤがギュウギュウ詰めにしてあった


 ポール・エレンガさんはマツダロータリー専門ショップ「ロータースポーツ」を経営している、クルマへの志をともにする無二の親友。持ち込まれた個体が「タウザーさんの欲しがっていた仕様に違いない」と、すぐに声をかけてくれたのだった。

「実際にクルマを見たらね、オリジナルはオリジナルだったけどずいぶんくたびれていて、なんとか走っている、っていう状態だった。エンジン回りやホース類を新しくして、ペイントをポリッシュしてようやくきれいになった」

 タウザーさんの心身に宿るロータリー精神の源をたどれば、それは子供時代にまでさかのぼる。小柄なマツダ車を駆って峠を走りまくる近所のお兄さんたちを追いかけ回した時代。クルマの修理を手伝えば、峠に乗せていってもらえることが何よりのご褒美だった。自分で運転するようになると、ロータリーサウンドに心は酔い、足は自然と峠へと向かう。走っては壊し、壊しては直してまた走る。そうやって運転と修理に腕を磨いてきた。


「この初期型のバンパーとかテールランプとかが好きなんだよね」
 昔を思い出しRX‐7のテールに目を細めたのは、それが子供のころに追いかけた、その姿そのままだから。




>> 手に入れてから、車体全体にわたってきちんと整備をした。改造は行っておらず、エアクリーナーも含めすべてオリジナルのまま。「ボンネットのステーが右側、運転席と反対側にあるのがね、ちょっと面倒」。実際、北米仕様はのちにステーの位置が左側に改められた。






>> RX-7前期型はスポーツカーらしい黒の簡潔な内装が特徴。1970年代の趣きを多分に残している。ちなみに後期型は1980年代のラグジュアリー感を先取りした内装となって印象がずいぶん変わった。傷んでいたダッシュボードを1979年式のものに交換したというタウザーさん。

「1978年式は助手席正面にスピーカーの穴があいていたんだ。1979年式にはそれがないのが残念。穴に見立てたシールでも作って貼り付けようかな」と意外と本気の表情。中央のタコメーターはキーオンした時にバッテリー電圧を示し、アナログ時計はインパネ内に装備されるなど、ユニークな意匠を見せていた。シートは多くのスポーツカーに見られるヘッドレスト一体型で、細かく開けられた呼吸穴が赤い点に見えるのがとってもかわいらしい。






>> 北米仕様は後部座席がまったく備わっていない、完全な2シーター仕様だ。発売当時、オプション設定されていたサンルーフも装備されていない。まじめで硬派なピュアスポーツを感じさせる個体だ。



【2】に続く

初出:ノスタルジックヒーロー 2018年8月号 Vol.188
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

アメリカ発!ニッポン旧車の楽しみ方 第44回(全3記事)

シリーズ: ニッポン旧車の楽しみ方

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text & photo : HISASHI MASUI/増井久志

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