オデッセイ・アブソルートのK24A型にバラードスポーツ製のアダプターで6速MTをドッキング!【3】1972年式 ダットサン 510

職人集団S&Aが実現した、世界初の510ブル+Kスワップ!

       
これまで510型ブルーバードのエンジンスワップで、数々の実績をあげている「S&Aオートクリエイト」。新たに仕かけたのは、海外でもまだ実績が報告されていないホンダのK24A型エンジン換装術。2.4Lの排気量がもたらすトルクの余裕は、旧車の直列4気筒エンジンスワップに、新たな可能性を生み出す大きなモチベーションとなるはずだ。

【1972年式 ダットサン 510 Vol.3】

【2】から続く

 このようにしてスタートした前代未聞の510+K型スワッププロジェクト。Sさん自身が用意した510の車体は、国内で見つけた北米仕様の4ドアセダン。3速AT車だったが、どのみち機関系は載せ替えるのでノープロブレム。コンディション極上のフルノーマル状態だったという。
 同時に実作業を担当するS&Aオートクリエイトも、エンジンのドナーとして2009年式のオデッセイ・アブソルートを用意。アブソルートに搭載されるK24A型は、標準グレード用よりも圧縮比が高く、最高出力も33㎰高い206㎰仕様となっている。

 本来は横置き用のK24A型を縦置きに改め、トランスミッションはS2000用の6速MTをドッキング。接合にはアメリカのバラードスポーツが販売しているK24型用アダプタープレートを使用した。

 最も苦労したのは縦に長い(全高が高い)K24A型を搭載するうえで、オイルパンがメンバーと干渉してしまうこと。干渉を避けるためのメンバー加工には試行錯誤したそうだ。そのほかにも排気系や燃料系の取り回しなど、複雑に絡み合う条件を整理しながら、どうすることがベストなのかを考え、緻密な作業を着実に進めていった。

 エンジンが載り、完動状態を迎えたところで「ノスタルジック2デイズ」への出展も果たしたSさんの510。現在は仕事の関係で海外に赴任し、なかなか思う存分乗り回すわけにいかない状況というが、足まわりのバージョンアップも計画中。世界初のK型載せ510は、まだまだ進化の途中である。


>> 【画像27枚】アメリカンレーシングのデザインを、VTOが復刻したリブレホイールなど。販売はBREも手がけており、BREに直接オーダーすると写真のセンターキャップが付属される。サイズは15×7.0J




>> フロントサスペンションは、ハコスカのストラットとS130Zのハブを組み合わせた仕様で、ビルシュタインベースの車高調を装着。





>> リアサスペンションは他車種用のオーリンズ製ショックを装備。スプリングには車高調整が可能なカラーを備える。






>> デフは機械式LSDを内蔵するスバル インプレッサWRXの純正品を流用。その奥に見えるエキゾーストパイプは、エキマニの効果をスポイルせず、取り回しにも配慮したS&Aによるワンオフ。テクノ・トイ・チューニングのアルミビレット製マスターシュバーにより、デフの取り付け剛性をアップ。容量を拡大するビレットフィンが付いたデフカバーも装着。







1972年式 ダットサン 510(PL510)

SPECIFICATIONS 諸元
■エクステリア:CIBIE製凸型ヘッドライト(ロービーム)、CRUIZE製LEDヘッドライトバルブ、Bosch製メルセデス・ ビンテージヘッドライト(ハイビーム)、EU仕様フロントマーカー、純正ダブルバンパー
■エンジン:K24A型(直列4気筒)
■吸排気系:4ピストンレーシング×キンスラー独立スロットルボディ、S&A製ベルヌーイエキゾーストマニホールド、エキゾーストパイプ
■冷却系:グリフィス製ラジエーターコア、S&A製アルミシュラウド、リザーバータンク
■燃料系:S&A製コレクタータンク、オリジナルフューエルライン、ターボスマート製レギュレーター
■制御系:ハルテックプロプラグイン
■駆動系:S2000純正6速MT、S&A製オリジナルプロペラシャフト、スバル インプレッサWRX純正デフ、アーミッシュ・レーシング製ドライブシャフト、ハイキャパシティデフカバー
■サスペンション:ハコスカ用ストラット+S130Z用ハブ純正流用、ビルシュタイン製フロント車高調、オーリンズ製リア車高調、テクノ・トイ・チューニング製テンションロッド、マスターシュバー
■ブレーキ:ウィルウッド製4ポットフロントキャリパー、アウディ純正リアローター
■インテリア:Status製バケットシート/SIMPSON製レーシングハーネス/レナウン製ステアリングホイール/ウィルウッド製クラッチペダル/RAZO製シフトノブ/STACK製追加メーター
■タイヤ:コンチプレミアムコンタクト5 195/55R15
■ホイール:BRE×VTO RETROホイール 15×7.0J



初出:ノスタルジックスピード vol.021 2019年8月号
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1972年式 ダットサン 510(全3記事)

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【1】【2】から続く

text : HIDEO KOBAYASHI/小林秀雄 photo : AKIO HIRANO/平野 陽

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