「今やれば世界初ですよ(多分)」という甘い言葉に「なんか楽しそうだし、いいかも!」【2】1972年式 ダットサン 510

エンジンの性能向上を考える時、排気効率を重視するS&Aオートクリエイト。バッテリーをトランクルームに移設して生まれた取り付けスペースを生かし、代表の中戸川悟史さんが最適なレイアウトを考えながらワンオフで製作したエキマニを装着する

       
これまで510型ブルーバードのエンジンスワップで、数々の実績をあげている「S&Aオートクリエイト」。新たに仕かけたのは、海外でもまだ実績が報告されていないホンダのK24A型エンジン換装術。2.4Lの排気量がもたらすトルクの余裕は、旧車の直列4気筒エンジンスワップに、新たな可能性を生み出す大きなモチベーションとなるはずだ。

【1972年式 ダットサン 510 Vol.2】

【1】から続く

 豊富な渡米経験から、いち早くK型の将来性に注目していたサンダー平野。S&Aで偶然出会ったのが、今回の510のオーナーであるSさんだった。Sさんは当時をこう振り返る。

「エンジンスワップの費用ってどれくらいかかるのか一度聞いてみよう、という感じで初めてS&Aさんに立ち寄ったんです。平野さんの510も雑誌やネットでよく知っていたので、ずっと参考にしていました。自分も平野さんと同じSR20型を載せたいと考えていたんですが、当の本人にお会いしてすすめられたのが、K24型という聞き覚えのないエンジンだったので、最初は正直驚きました(笑)」

 アメリカでのK型の盛り上がりを説き、「今やれば世界初ですよ(多分)」と甘い言葉をSさんにささやいたサンダー平野。それに対してSさんも「なんか楽しそうだし、いいかも!」と直感に従うことにした。


>> 【画像27枚】ロービームはCIBIE製の凸型レンズ、ハイビームはイエローの灯体が使用されたクラシック・メルセデス用のBosch製となるヘッドライトなど。CRUIZEのLEDバルブが内蔵され、ビンテージな雰囲気と実用性を両立





>> レナウンの革巻きステアリングを装備。ベースがAT車だったため、ウィルウッドのクラッチペダルとクラッチマスターシリンダーを追加している。





>> アメリカのStatusにトリムをオーダーしたクラシック形状のバケットシートを装備。レーシングハーネスはSIMPSON。

1972年式 ダットサン 510 (PL510)

SPECIFICATIONS 諸元
■エクステリア:CIBIE製凸型ヘッドライト(ロービーム)、CRUIZE製LEDヘッドライトバルブ、Bosch製メルセデス・ ビンテージヘッドライト(ハイビーム)、EU仕様フロントマーカー、純正ダブルバンパー
■エンジン:K24A型(直列4気筒)
■吸排気系:4ピストンレーシング×キンスラー独立スロットルボディ、S&A製ベルヌーイエキゾーストマニホールド、エキゾーストパイプ
■冷却系:グリフィス製ラジエーターコア、S&A製アルミシュラウド、リザーバータンク
■燃料系:S&A製コレクタータンク、オリジナルフューエルライン、ターボスマート製レギュレーター
■制御系:ハルテックプロプラグイン
■駆動系:S2000純正6速MT、S&A製オリジナルプロペラシャフト、スバル インプレッサWRX純正デフ、アーミッシュ・レーシング製ドライブシャフト、ハイキャパシティデフカバー
■サスペンション:ハコスカ用ストラット+S130Z用ハブ純正流用、ビルシュタイン製フロント車高調、オーリンズ製リア車高調、テクノ・トイ・チューニング製テンションロッド、マスターシュバー
■ブレーキ:ウィルウッド製4ポットフロントキャリパー、アウディ純正リアローター
■インテリア:Status製バケットシート/SIMPSON製レーシングハーネス/レナウン製ステアリングホイール/ウィルウッド製クラッチペダル/RAZO製シフトノブ/STACK製追加メーター
■タイヤ:コンチプレミアムコンタクト5 195/55R15
■ホイール:BRE×VTO RETROホイール 15×7.0J


【3】に続く

初出:ノスタルジックスピード vol.021 2019年8月号
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1972年式 ダットサン 510(全3記事)

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【1】から続く

text : HIDEO KOBAYASHI/小林秀雄 photo : AKIO HIRANO/平野 陽

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