KC10ハコスカにR30のFJ20型を換装！　レアな2ドアショートの「R仕様」【3】1972年式 日産 スカイライン HT 1500GL

ハコスカの中でも今となってはレアな存在なのが、4気筒エンジンを搭載したボンネットが短いショートノーズモデル。ツラ構え、後ろ姿も6気筒モデルとなんら変わらないが、サイドビューからはホイールベースが短いのが分かる。「気楽に旧車を楽しみたいから、ちょうどえーわー」とオーナー。2L直列4気筒DOHCのFJ20型改を、気楽さゆえの大胆スワップ。これぞショートならではの「R仕様」だ。

【1972年式 日産 スカイライン HT 1500GL　Vol.3】

【2】から続く

　スワップしたFJ20型エンジンが絶不調。足まわりにも難があり、地元のショップにあずけてリフレッシュを施すことに。作業は約1カ月がかり。FJ20型は、それまでの不機嫌さがウソのように快調に吹け上がり、おっかなびっくりだったブレーキも、思うがままにコントロールできるようになった。作業は約1カ月がかり。FJ20型は、それまでの不機嫌さがウソのように快調に吹け上がり、おっかなびっくりだったブレーキも、思うがままにコントロールできるようになった。

「トルク重視で手を入れました。ボアはそのままピストンをハイコンプに変更して、ポートやヘッド、ブロックの研磨や面研、バルブのすり合わせなどは一通り。カムは、リフト量は変えずに、角度だけ68度に加工しています。3500rpmくらいからトルクが湧き上がるイメージ。FJ20型はトルク感の薄いエンジンだから、カムに乗って気持ちよく走れるようになったと思います」とウイナーの常光代表。濃すぎたキャブの燃調が薄めに調整され、高回転の伸びも以前とは雲泥の差だ。

　イベントにこのハコスカで出かけると、口の悪い仲間に「なんか短けーのは、ハジに止めーや」とからかわれる。でもオーナーは笑って返す。

「何いわれようが、こっちはウイナーが手がけた絶好調のFJ20型。短けーても、エンジンのサウンドはイベントで注目の的じゃけー」と自信たっぷり。

堂々たる風ぼうのショートのハコスカ「R仕様」、中身もけっしてあなどれない。


>> 【画像30枚】純正ではプリンス系の4気筒SOHCのG15型だが、DOHCのFJ20型が収まるエンジンルームなどクーラーの配管を避けつつ、キッチリ等長化が図られたステンレス製のタコ足はもちろんワンオフ品だ

OWNER

中国地方で造園業を営むオーナー。以前、作業中に高所から転落、瀕死の重傷を負ったのを機に価値観が一転。旧車のとりこになったのもそれからのこと。「コイツで仲間と走っとる時が一番じゃー。生きとる気がしよーる」と話す。観光地の美観地区に乗って行けば、親友が乗るS30Zより女子に人気。そこもまたお気に入り。




>> 保管状態が良く、ボディのコンディションは抜群だった。その分、軍資金をメンテナンスにまわせたそうだ。リアビューはオーナーの一番のお気に入りポイントだ。

1972年式 日産 スカイライン HT 1500GL (KC10)

SPECIFICATIONS 諸元
■エクステリア:フロントスポイラー、リアポイラー(純正オプション)、オーバーフェンダー、シビエ製ハロゲンヘッドライト、けん引フック、ナポレオン製ドアミラー
■エンジン:FJ20型改、加工カム、亀有製ハイコンプピストンKIT/強化タイミングチェーン/メタルヘッドガスケット
■吸排気系:OER製45X、ワンオフステンレスタコ足、ワンオフマフラー
■冷却系:オイルクーラー
■点火系:永井電子機器製ウルトラプラグコード
■駆動系:レース用フライホイール、71Bミッション
■ブレーキ:(F)MK63キャリパー
■サスペンション:(F)車高調 (R)カヤバ製ショック、ワンオフローダウンブロック(0.5インチ)
■タイヤ:(F)ヨコハマ DNA ECOS 195/55R15 (R)ヨコハマ DNA GP 225/50R15
■ホイール:RSワタナベ8スポーク
■インテリア:ダッツンコンペハンドル/バケットシート(運転席)、2000GT用タコメーター、電動パワステ、サイドブレーキ変更、クーラー


【4】に続く


初出：ノスタルジックスピード vol.021　2019年8月号
（記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです）

1972年式 日産 スカイライン HT 1500GL（全3記事）

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【1】【2】から続く