スワップしたFJ20型の不調がどうにもならず、リフレッシュを断行【2】1972年式 日産 スカイライン HT 1500GL

KC10にFJ20型を換装、レアな2ドアショートの「R仕様」

       
ハコスカの中でも今となってはレアな存在なのが、4気筒エンジンを搭載したボンネットが短いショートノーズモデル。ツラ構え、後ろ姿も6気筒モデルとなんら変わらないが、サイドビューからはホイールベースが短いのが分かる。「気楽に旧車を楽しみたいから、ちょうどえーわー」とオーナー。2L直列4気筒DOHCのFJ20型改を、気楽さゆえの大胆スワップ。これぞショートならではの「R仕様」だ。

【1972年式 日産 スカイライン HT 1500GL Vol.2】

【1】から続く

 順風満帆。明るさゆえに、そんな風にしか見えないオーナーの旧車ライフ。しかし、購入当初はトラブルの連続、手なずけるのには相当に苦戦したようだ。ボディは前オーナーの保管状態がよかったこともあって、コンディションは抜群。対して、スワップしたFJ20型エンジンが絶不調。足まわりにも難があり、思うように走らないストレスがたまる一方だった。

「見た目はよーても、付き合い出したとたん粗が目立つ。ま、よーある話じゃ(笑)。ただ、今じゃからこそ笑いよるけど、当時はどーやってもおえんで。クルマやメカに詳しいわけじゃねーから、余計にじゃなー」
 オーナーが、「古いクルマだから仕方がない、しかもここまでイジっているのだから余計に」、そう思えたことが救いだった。そして間もなくハコスカのリフレッシュを断行する。

 依頼先は、旧車仲間からの紹介された、地元岡山の「ウイナーレーシング」。なかなか濃い目のクルマ好きが密かに集まるチューニングショップだ。店を一人で切り盛りする常光則良代表がハコスカを診断し、施工したメニューがエンジンのオーバーホールとキャブのリセッティング。さらにブレーキローターのバランス取りとセットアップというメニュー。


>> 【画像30枚】エンジンの換装に伴い、71Bの5速に交換されたミッションなど。高回転、高出力のFJ20型の性能をフルに使い切る




>> 純正ではプリンス系の4気筒SOHCのG15型だが、DOHCのFJ20型が収まる。ショートノーズ版の「R仕様」だ。






>> ウイナーで調整を受けたOER 45X。マージンを取り、かなり濃い目だったジェット類を最適化。高回転の伸びとパワー感、そしてサウンドも激変した!





>> クーラーの配管を避けつつ、キッチリ等長化が図られたステンレス製のタコ足はもちろんワンオフ品。


1972年式 日産 スカイライン HT 1500GL (KC10)

SPECIFICATIONS 諸元
■エクステリア:フロントスポイラー、リアポイラー(純正オプション)、オーバーフェンダー、シビエ製ハロゲンヘッドライト、けん引フック、ナポレオン製ドアミラー
■エンジン:FJ20型改、加工カム、亀有製ハイコンプピストンKIT/強化タイミングチェーン/メタルヘッドガスケット
■吸排気系:OER製45X、ワンオフステンレスタコ足、ワンオフマフラー
■冷却系:オイルクーラー
■点火系:永井電子機器製ウルトラプラグコード
■駆動系:レース用フライホイール、71Bミッション
■ブレーキ:(F)MK63キャリパー
■サスペンション:(F)車高調 (R)カヤバ製ショック、ワンオフローダウンブロック(0.5インチ)
■タイヤ:(F)ヨコハマ DNA ECOS 195/55R15 (R)ヨコハマ DNA GP 225/50R15
■ホイール:RSワタナベ8スポーク
■インテリア:ダッツンコンペハンドル/バケットシート(運転席)、2000GT用タコメーター、電動パワステ、サイドブレーキ変更、クーラー


【3】に続く

初出:ノスタルジックスピード vol.021 2019年8月号
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1972年式 日産 スカイライン HT 1500GL(全3記事)

関連記事:禁断のエンジンスワップ

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【1】から続く

text : ISAO KATSUMORI(ZOO)/勝森勇夫(ズー) photo : RYOTA-RAW SHIMIZU(FOXX BOOKS)/清水良太郎(フォックス ブックス)

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