「MTでDOHCを操りたい」昭和51年排ガス規制により失われた117のDOHC【2】1976年式 いすゞ 117クーペ 1800XC-J

ステアリングはナルディのパンチングレザーに変更。メーター本体パネルはオーナーがボディカラーに合わせた赤色に変更している。黒いパネルとのコントラストが鮮やか

       
いすゞの名車117クーペは、高い完成度と上品さがあり、下手なモデファイではバランスが崩れてしまう。そんな117のバランスを守りつつ、エンジンをDOHCにスワップしオリジリティのある外観とした、大胆な「楽しめる」117クーペが誕生した。

【 1976年式 いすゞ 117クーペ 1800XC-J Vol.2】

【1】から続く

 1975年10月のマイナーチェンジで、117クーペは昭和51年排ガス規制に対応するため、酸化触媒コンバータやEGRといった排気ガス浄化の工夫や、燃焼を効率化するECGIを組み合わせた、I・CAS(いすゞ・クリーンエアシステム)という排ガス浄化システムを導入。規制値に対応したが、その代償にパワーダウンを余儀なくされてしまう。

 それだけではなく、排ガス規制対応前の量産丸目には、最上級グレードのXEとスポーティーなXGの2つがDOHCエンジンを搭載していたが、規制対応後にはXGがグレードごと消滅。さらにXEも、トランスミッションが3ATのみとなる。つまり、DOHC+MTのモデルがラインナップからなくなってしまったのである。

 今回紹介する個体は、このような時期に登場した1800XC‐JのSOHCエンジンをDOHCのG180W型にスワップしたもので、イスズスポーツによって仕上げられた。いすゞ車専門として名高い同店が、当時のオーナーの「MTでDOHCを操りたい」という夢をかなえたともいえる1台だ。

>> 【画像25枚】唐獅子がモチーフになったエンブレムが、装着されるグリルなど



>> ステアリングはナルディのパンチングレザーに変更。メーター本体パネルはオーナーがボディカラーに合わせた赤色に変更している。黒いパネルとのコントラストが鮮やかだ。





>> 当時は117クーペもコストダウンが図られていたが、パワーウインドーは全仕様に用意された。


1976年式 いすゞ 117クーペ 1800XC-J(PA95SJ)

SPECIFICATION 諸元
エンジン:G180W型にスワップ(水冷直列4気筒DOHC、125ps / 6400rpm、16.5kg-m / 5000rpm)
吸気系:ソレックスPHH
排気系:ワンオフタコ足 / マフラー(ともに藤壺製)
エクステリア:ボディサイドにストライプ+オリジナルエンブレムデカール、フェンダーミラー前期型に換装
電装系::ヒューズボックス変更、LED / リレー系統等の最適化
サスペンション:ISPオリジナルダウンサスキット、フロントISP軽量強化スタビライザー、KONI製ショックアブソーバー
インテリア:メーター本体パネルを赤色塗装、シート前後とも赤 / 黒の2トーンに張り替え
ステアリング:ナルディ スポーツタイプAパンチングレザー・レッドステッチ
タイヤ:グッドイヤーGTエコステージ 前後とも165 / 70R14
ホイール: ハヤシレーシング テクノレーシング 前後とも14×6.5J

【3】に続く

初出:ノスタルジックヒーロー 2018年6月号 vol.187
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1976年式 いすゞ 117クーペ 1800XC-J(全3記事)

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【1】から続く

text:NOSTALGIC HERO/編集部 photo:MAKOTO INOUE/井上誠

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