トランクリッドもないテール! デザインスタディーのエッセンスをそのまま量産化【1】1972年式 シボレー コルベット スティングレイ

2代目コルベットから継承された4灯式リトラクタブルヘッドライト。エンジンが発生するバキュームを利用して昇降させるシステム

       
1968年から1982年まで生産されたロングセラー、3代目コルベット。
中でも、エンスージアストが珍重する「アイアンバンパー」は、アメリカンドリームに世界があこがれた時代の象徴。
そのかたわらで、リアルスポーツとしての資質も備えていた。

【輸入車版懐古的勇士 1972年式 シボレー コルベット スティングレイ Vol.1】

 かつて世界の自動車界に君臨したデトロイトのビッグ3、GM/フォード/クライスラーだが、彼らが本気でスポーツカーに取り組んだ事例は、長らく皆無にもひとしい状況が続いた。そんな中「偉大な例外」ともいうべき存在が、現在では7代目まで進化している歴代シボレー・コルベットである。

 愛好家の間では「C1」と呼ばれる初代コルベットは1953年に登場。1963年にはC2こと「コルベット・スティングレイ」に代替わりしたのち、1968年には3代目コルベット(C3)が誕生する。C3世代の当初は初代と同様、単に「コルベット」と命名されたが、デビュー翌年の1969年モデル以降は、C2以来の「スティングレイ」のペットネームが復活した。

 C2登場から、比較的短期間ともいえる5年目のデビューだったせいか、その基本構成は前任モデルをおおむね踏襲したもの。強固なラダーフレームに、前ダブルウイッシュボーン/後トレーリングアームのサスペンションを組み合わせる。エンジンもC2時代後期とほぼ変わらず、シボレーの「スモールブロック」が標準とされたほか、オプションとして7L「ビッグブロック」も選択可能とされた。


>> 【画像17枚】新車時からのオリジナルとなる極太のタイヤと、ホイールリング+ハブキャップ付きのホイールなど。古き良き「マッスルカー」の装いである





>> 1978年モデル以前のテールは、往年のイタリアンスーパーカーを思わせる「トンネルバック」スタイル。トランクリッドは設けられていなかった。
 





1972年式 シボレー コルベット スティングレイ

SPECIFICATIONS 諸元
全長×全幅×全高(mm) 4636×1753×1217
ホイールベース(mm) 2489
トレッド前/後(mm) 1491/1509
車両重量(kg) 1552
エンジン型式 スモールブロック型
エンジン種類 V型8気筒OHV
総排気量(cc) 5733
最高出力(ps/rpm) 304/4800
最大トルク(kg-m/rpm) 52.5/3200
ボア&ストローク(mm) 101.6×88.39
圧縮比 10.25:1
サスペンション 前ダブルウイッシュボーン/後トレーリングアーム
ブレーキ形式 前ベンチレーテッド ディスク/後ソリッドディスク
タイヤサイズ F70-15


【2】に続く

初出:ノスタルジックヒーロー 2018年6月号 vol.187
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1972年式 シボレー コルベット スティングレイ(全3記事)

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text:HIROMI TAKEDA/武田公実 photo:DAIJIRO KORI/郡 大二郎

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