日本では激レアだった! ノンターボのヒストリックF1が大挙来日! グループCカーも走った。鈴鹿サウンド・オブ・エンジン2017

1985年トヨタ車として初めてル・マンに参戦したトムス85C-L、その個体である。昨年復元作業を受け、ル・マン・クラシックに参戦。セッティングは順調に進んでいるという

       
マスターズF1が大挙来日、希少価値の宝庫となった鈴鹿

【 鈴鹿サウンド・オブ・エンジン2017】

 2017年で第3回となるサウンド・オブ・エンジンが11月17〜18日に鈴鹿サーキットで開催された。同イベントは、昨年からスイスの高級時計メーカー「リシャール・ミル」が冠スポンサーとなり、海外から希少なレーシングカーを招へいするなど、国際的なイベントとして認知度を深めている。

 そうした意味では、今回も大きな動きが見られた。18年以降の定期戦開催を見越したうえで「マスターズ・ヒストリック・フォーミュラ1」(以下マスターズF1)シリーズの来日が決まったのだ。同シリーズは、1966年から1985年までのヒストリックF1(ノンターボ)を対象に、ヨーロッパ各地のサーキットを転戦し、FIAの選手権がかけられたレースとして成立しているが、その1戦に鈴鹿戦を組み込もうという思惑である。

 それだけに、日本では目にすることのできないヒストリックF1の数々が見られるとあって、心待ちにしたファンもかなり多かったと聞いている。

>> 【画像13枚】1967年のル・マンをほうふつとさせる光景が展開した鈴鹿サーキットのコースなど

 サウンド・オブ・エンジン自体も、日産、トヨタ、マツダなどのグループCカーを手始めに、国内にあるヒストリックレーシングカーの数々が顔を連ねるため、これだけでも十分に見応えはあるのだが、マスターズF1が加わったことで、ファンにとっては必見のイベントとなった。

 本誌も、当初はイベントの全容をお伝えしようと考えたのだが、とにかくめったに目にする機会のない車両が多くあり、国内の参戦レギュラー組(?)にはご容赦いただいて、マスターズF1を中心に紹介する予定だった。

 ところが、である。うれしい誤算が生じたのである。エントリーリストにポルシェ907の車名が記されていたのだ。1960年代中盤から1970年代初頭のレーシングポルシェにあって、希少性に関してはトップ5に入る車両と言ってよいかもしれない。ポルシェは906から908にいたる過程を910と907でつないでいるが、いずれも暫定的な流れで、とくに907は実動時期が1967年終盤から1968年前半と910より短くなっている。

 スポーツカーのカテゴリーは、期待していたランチアLC2が不参加となる不運(?)もあったが、907の参加は、これを埋め合わせて余りある存在と言えるかもしれない。

 ヨーロッパで人気、日本でもファンが多いグループCカーは、珍しいモデルに的を絞って紹介することにしよう。それにしてもこれだけの車両が揃うと、1日がとても短く感じられた。



>> 1967年のル・マンをほうふつとさせる光景。ポルシェ907の後方に見えるのはフォードGT MkⅡB。907は2L6気筒と2.2L8気筒の2仕様が用意され、1968年デイトナで隊列を組んだ1〜3フィニッシュがあまりに有名だ。リアビューはこのモデルが910の発展型であることを物語る。





>> 1976年、日本で初めて開催されたF1GP「F1イン ジャパン」に長谷見昌弘のドライブで参戦した日本製マシンKE007。予選で海外勢にひと泡吹かせたのは痛快だった。



初出:ノスタルジックヒーロー 2018年2月号 Vol.185
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

鈴鹿サウンド・オブ・エンジン2017(全1記事)

関連記事:モータースポーツの世界へ

関連記事:鈴鹿

text & photo:AKIHIKO OUCHI/大内明彦

RECOMMENDED

RELATED

RANKING