風吹裕矢【4】29個の撃墜マークとともに展示されている1台|1973年式 ロータス ヨーロッパ スペシャル |サーキットの狼世代へ

リアの特徴的なアルミ製GTウイング。これだけでも風吹裕矢仕様ということを主張できるというもの。また、外へとはみ出し装着されたオイルクーラーが走りの雰囲気をより強くさせる。

       
誰しもが通ったであろう「サーキットの狼」という漫画。この作品が登場するまで実在するクルマを描き切った作品がなかったことに加え、漫画に登場するスーパーカー群を乗り継いできた作者によるリアルなエピソード。そして、1人の暴走族がF1レーサーへと成長する過程を丁寧に描いたストーリーに酔いしれた。そんなサーキットの狼世代に向け、往年の名車とともにじっくりと堪能できるシリーズをおおくりする。

サーキットの狼 Story

すべてはここから始まった
主人公風吹裕矢最初の愛車


【1973年式 ロータス ヨーロッパ スペシャル  Vol.4】

【3】から続く

 サーキットの狼の影響で、英国以上に日本での人気が高いロータス・ヨーロッパ。国内に専門ショップがこれほど多いのも日本独特と言えるだろう。

 サーキットの狼にあこがれた子供たちが免許を取得すると、まだそんなに価格が高騰していなかったロータス・ヨーロッパを愛車にする例は多かった。本誌でも過去に何人かロータス・ヨーロッパを取材したが、その多くはやはりサーキットの狼、そして風吹裕矢に対する強いあこがれを持っていた。

 池沢早人師サーキットの狼ミュージアムに展示されている、この実車は風吹裕矢の愛車と同じ最終型の1973年式ロータス・ヨーロッパスペシャル。公道グランプリまでの仕様に合わせて車体のフロントからリアまで通った赤のストライプに、早瀬佐近との対決直前までの数である29個の撃墜マークが記されている。外観の大きな特徴である巨大なGTウイングも風吹裕矢仕様としてなくてはならないものだ。漫画では表現しきれない実車ならではの部分も多く、他に何台もロータス・ヨーロッパを見てきた人であっても、この特別な車両には感動を覚えることだろう。

>>【画像23枚】純正オリジナルとなるシートはセミバケット形状。シートベルトは3点式のものが装着されている

 実際にレースを走っているような仕様だと思った人は鋭い。実はこのクルマは日本クラシックカー協会の主催するJCCAクラシックカーレースに参戦中で、Pクラス(ノーマルクラス)に何度も参加しており、トップクラスの成績を残している。レース活動のためフロントスタビライザーの位置は上方に移動されている。

 展示用に外観だけを漫画に合わせたのではなく、実際にレースにも参加した「生きている車両」。まさに登場人物である風吹裕矢の息吹を感じさせるような漫画の実車化なのである。 




>> 思った以上に着座位置は低く、腰を地面に付けているような目線の高さ。インパネは純正の木目ではなく、レーシーなアルミ地になっている。




1973年式 ロータス ヨーロッパ スペシャル

SPECIFICATION 諸元
全長×車幅×全高●3980×1650×1090mm
ホイールベース●2340mm
トレッド 前/後●1346mm/1346mm
車両重量●730kg
エンジン●水冷直列4気筒DOHC 縦置きミッドシップ
総排気量●1558cc
最高出力●126ps/6500rpm
最大トルク●15.6kg-m/5500rpm
生産年●1971~1975年
生産台数●4710台(TC&SP)
生産国●イギリス
※スペックは池沢早人師ミュージアムに準じる。

初出:ノスタルジックヒーロー 2017年12月号 Vol.184
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1973年式 ロータス ヨーロッパ スペシャル (全4記事)

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【1】【2】【3】から続く

©︎池沢早人師/animedia.com text:NOSTALGIC HERO/編集部 photo:ISAO YATSUI/谷井 功

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