リトラクタブルライト百花繚乱【1】国産リトラクタブルライトの始まりはトヨタ2000GT|80年代を象徴する憧れのアイテム、リトラクタブルにときめく

ハチマル世代のおもなリトラ車(1981年〜1985年)

       
流れるような美しいスタイルを実現させたリトラクタブルヘッドライト。世界のスーパーカーから広まったブームは海を渡って日本に飛び火。
百花繚乱、リトラクタブルの花が咲き誇り、少年たちの憧れとなった。


【 80年代を象徴する憧れのアイテム、リトラクタブルにときめく Vol.1】

 自動車の進化とともに、フォルムだけでなくヘッドライト回りのデザインも大きく変わった。その革命児と言えるのが、ボンネットの中にヘッドライトを格納してスッキリと見せるリトラクタブルヘッドライト(以下リトラ)だ。スーパーカーのヘッドライトの代名詞となったが、この方式は意外にも古く、戦前から存在した。最初の作品は、アメリカの自動車メーカー、コードが1935年に送り出した前輪駆動のラグジュアリーカー、コード810である。1942年にはデソートが追随した。

 最初は、マンネリ化したセダンのデザインに新鮮味を与えるために採用され、いろいろなタイプが登場している。アメリカのデザイナーが好んで使う手法だったが、60年代になるとヨーロッパに飛び火して高性能スポーツカーに使われるようになった。

 ブームの火付け役となるのは、F1の世界でも成功を収めた天才エンジニア、コーリン・チャップマンが設計し、センセーションを巻き起こしたロータス・エランで、1963年に登場。60年代後半からはイタリアのスポーツカーメーカーが好んで使うようになり、大流行する。ランボルギーニやフェラーリ、マセラティなどが積極的に採用。スーパーカーブームを呼び起こし、リトラは日本の自動車ファンの憧れとなった。先陣を切ったロータスもエスプリに採用している。

 日本初のリトラ車は、1967年5月に登場したトヨタ2000GTだ。ロータス・エランと同様のY型バックボーンフレームを採用したスポーツカーだが、ヘッドライトの形状にも影響を与えたようである。ちなみに初期モデルは、スイッチを操作してから2秒ほどかかってライズアップした。


>>【画像18枚】我が青春のリトラクタブル。1988年式 フェアレディZ 2シーター 300ZRなど



【2】に続く

初出:ハチマルヒーロー 2016年 1月号 vol.33
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

80年代を象徴する憧れのアイテム、リトラクタブルにときめく(全2記事)

関連記事:我が青春のリトラクタブル

text : HIDEAKI KATAOKA/片岡英明

RECOMMENDED

RELATED

RANKING