510オーナー・ミーティング2017【2】レーシーなクルマからノーマル然としたスタイルなど、多彩なブルが集結|1970年式 日産 ブルーバード1800 SSS、1969年式 日産 ブルーバード1600 SSSクーペ

さまざまなカタログも披露された。北米仕様であったり、各時代ごとのカタログなど、今では珍しい資料ばかり。オーナーとして、そしてブルーバード愛を感じさせる収集力には驚かされる。

       
【イベント振り返り 510オーナー・ミーティング 2017 Vol.2】

【1】から続く

 普段から旧車のイベントには参加するが、このように単一モデルだけで集まることは珍しいという。久しぶりに再会した仲間や、初めて見るクルマなど、オーナー同士の交流も盛んだ。

 集まった車両は1600SSSクーペが3台、セダンの1800SSSが3台、そして、左ハンドルのダットサン510が1台。計7台。各クルマの特徴もさまざまで、レーシーなクルマからノーマル然としたスタイルなど、バリエーションの幅も広い。

 そして、オーナー誰もが共通して言うのは、そのドライビングの楽しさに引かれて、今でもブルーバードに乗り続けている、という話。
 そんな中、1800SSSに乗るオーナーはサーキットを本格的に走っているオーナーだ。他のクルマとは少し違った雰囲気が漂っている。ボンネットの裏側には各サーキットに合わせてジェットサイズが記されているほど。

「すぐに忘れてしまうから、ここにメモしているんです。そうすれば、すぐにサイズが分かりますから便利ですよ。このブルーバードのスタイルは何年経っていても、飽きませんね。乗っていて楽しいし、手を入れると、素直に反応してくれるのがいいんですよ」

 同じく、走りをイメージさせるオーナーのダットサン510。今回、ショップの車高調整サスを組み込んで、初めての長距離ドライブとなった。その目を引くスタイリングから、オーナーとしてのエピソードも多い。

「クルマに乗っていると、みなさんに注目されますね。高速のパーキングエリアなどで、クルマを置いておくと、戻ってきた時にはたくさんの人だかり。そんな光景を目の当たりにすると、戸惑うこともありますが、オーナーだったことを少し誇らしく感じることがあるかもしれません」という。

 そんな注目されるブルーバードが縁で、珍しい人と話をしたというのは1800SSSのオーナー。

「飲酒運転か何かの検問で、クルマが止められたことがあるんです。その時、奥から、いかにも偉そうな警察官がやってきて、『なつかしいなぁ、オレ、このクルマ買えなかったんだよ』と話しかけてきました。検問所でしたが話し込んでしまい、後ろを振り返ると長蛇の列ですよ。若手に交通整理の指示を出すと、さらに話し込んで、30分ぐらいその場所にいたんじゃないですかね」

 さすがブルーバードといったエピソード。当時を知っている人は、その懐かしさから話しかけるし、若い世代でもそのスタリングに引かれるのだろう。

 そして、ブルーバードをまったく知らない子供たちにも人気があったというのは1600SSSのオーナー。

「この年になると子供たちと交流することもなくなってきますが、このクルマは色とかデザインで、子供たちに大人気ですよ。小さな子供が寄ってきますからね。不思議なものです。以前、ダートラコースを走った時、小学生を乗せてあげたら、『もう一回』と大変でした」

 一方で、若い世代である息子さんがブルーバードに乗ってくれないと嘆くのは1600SSSのオーナーだ。

「息子が言うには、乗れる気がしないっていうんですよ。パワステも付いていないし、運転することに構えてしまうようです。だから、私は毎晩ガレージですよ。酒のさかなにブルーバードを磨いているのが楽しいんです。でも、そんな趣味を手に入れられたのが、ブルーバードに乗って良かったことですかね」


>>【画像49枚】取材の約15年前に同好会の形でスタートし、クラブ510 として活動。会員数はC30 ローレルオーナーを含め22名




4人が快適に乗れる1800を選択/1970年式 日産 ブルーバード1800 SSS

1400バンから1600SSSセダン、そしてこのクルマに乗り継いできたオーナー。基本はノーマルで乗るつもりだったので、大きくて、使い勝手のいい4ドアの1800を探していたという。運転席とトランクの一部を修理し、プラグコードを純正に交換。今まで不具合はほとんどないと言う。もしものために純正部品も確保しているが、ライトスイッチなどの小パーツも、入手した当時からストックしているという。普段からボディのカラぶき、紫外線を避ける、タイヤワックスを使わないようにして、現状の素晴らしい状態を維持している。





サーキット走行仕様にフルチューン/1970年式 日産 ブルーバード1800 SSS

早く走るために、手が入れられているオーナーのブルーバード。サーキット走行ではウエーバーのφ55mmを装着しているが、今回のミーティングのような、街中を走る場合はOERφ47mmを装着している。足回りはフロントにスカイラインR31用、リアにS13シルビアのコイルオーバーキットを利用。使えそうなパーツをとりあえず手に入れ、装着すると言うチャレンジ精神あふれる行動。フライホイールも交換されクロモリのφ220mmサイズ。ピストンもエンジン内圧力を調整するために、自分で削って微調整しているというから驚き。




コツコツと長く楽しめるクルマに大満足/1969年式 日産 ブルーバード1600 SSSクーペ

カーショップで偶然見つけた前期型。初めて買ったクルマだったが、その一台を現在まで維持している。修理など、その都度、しっかりとメンテナンスをすることで、長く、ブルーバードを楽しんでいる。エンジンは1750ccにボアアップされ、当時ものの日立フルトラが組み込まれ、エンジンをパワーアップ。ウエーバーを新品で購入し、ずっと磨き続きているのでキャブ本体はピカピカだ。熱対策やオイル回りなど、少しずつ手が入れられ、長く乗り続けるための工夫が随所に見受けられる。独立懸架の特徴的な後ろ姿がお気に入り。



【3】に続く

初出:ノスタルジックヒーロー 2017年10月号 vol.183
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

510オーナー・ミーティング(全3記事)

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【1】から続く

text : KEISHI WATANABE/渡辺圭史 photo : HIDENOBU TANAKA/田中秀宣

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