「幸せの黄色いキャラバン」|ワンボックスパラダイス|1979年式 日産 キャラバン コーチ スーパーデラックス 9人乗り Vol.3

コーナーレンズは輸出用のクリアに変更(通常はオレンジのみ)。

       
商用モデルのバンをベースにエンジンを運転席の下に搭載するキャブオーバーのワンボックスカー。
その代表格で多人数乗車のレジャービークルという新たな価値をもたらしたのがハイエースとキャラバンだ。
今回は本誌でもあまり取り上げてこなかったこの2台の魅力の扉を開いてみよう。

【1979年式 日産 キャラバン コーチ スーパーデラックス 9人乗り Vol.3】

【2】から続く

 また、E20キャラバンは排ガス規制に翻弄された時代を生き抜いた。そのためエンジンは何度も変更。コーチは1.5LのJ15型でスタートし、1976年に2LのH20型を、マイナーチェンジ時に2.2LディーゼルのSD22型を追加。そして、1979年に昭和53年規制対応のためH20型をZ20型に刷新した。いわゆる排ガス規制の識別記号で、AからCを経てEの時代にわたるモデルライフを送った車種は数少ない。E20は貴重な時代の証人となったのだ。モデル末期の1年強だけしか搭載されなかったZ20型エンジンは、排ガス規制に適合しながらも、パワフルかつ低燃費という高性能なスペックにより、長距離移動の不満を解消した。

 オーナーがこの個体を入手したのは12年前。30歳を機に「何か忘れていることが……」と思い、それが子どもの頃に好きだったE20に乗ることだと気付いて購入を決断。「このクルマに乗り始めてから人との出会いにも恵まれて、いいことばかりです。幸せの黄色いキャラバンですね」と満面の笑顔でキャラバンへの愛情を語った。

>>【画像36枚】足もとを飾るエンケイ・ディッシュ&ホワイトリボンタイヤなど



2L直列4気筒SOHCのZ20型エンジンは2プラグ仕様で、最高出力105ps/最大トルク16.5kg-m。






初期モデルはテールゲートに「ニッサン キャラバン」のカナ表記デカールが付く。


OWNER’S VOICE


「2〜3歳の頃にミニカーで遊んだことがE20キャラバンの一番古い記憶」と話すオーナー。この個体は探し始めた翌日に見つかった希望の色とグレードで、「縁がある」と迷わず購入。日産旧車パーツを扱うバラクーダの飯田さんの協力を得て、純正や輸出用部品を調達して仕上げた。


1979年式 日産 キャラバン コーチ スーパーデラックス 9人乗り(KPSE22GA)
SPECIFICATION 諸元
全長 4310mm
全幅 1690mm
全高 1905mm
ホイールベース 2350mm
トレッド前/後 1385 / 1390mm
最低地上高 175mm
室内長 3110mm
室内幅 1525mm
室内高 1280mm
車両重量 1420kg
乗車定員 9名
登坂能力 0.39°
最小回転半径 4.9m
エンジン型式 Z20型
エンジン種類 水冷直列4気筒SOHC
総排気量 1952cc
ボア×ストローク 85.0×86.0mm
圧縮比 8.5:1
最高出力 105ps / 5200rpm
最大トルク 16.5kg-m / 3200rpm
燃料供給装置 キャブレター
燃料タンク容量48L
変速機 前進4段 / 後退 1段
ステアリング形式 ボールナット
サスペンション前/後 トーションバー / 半楕円リーフ
ブレーキ前/後 ツーリーディングドラム / デュオサーボドラム
タイヤ前後とも 6.00-14-6PRLT
発売当時価格不明


初出:ノスタルジックヒーロー 2017年6月号 vol.181
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1979年式 日産 キャラバン コーチ スーパーデラックス 9人乗り(全3記事)

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【1】【2】から続く

text : Rino Creative/リノクリエイティブ photo : REO NAKAMURA/中村レオ

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