乗用車に劣らないラグジュアリー感。レジャー用途で人気を博したビックアップトラック|1974年式 トヨタ ハイラックス Vol.4

エンジンは22R型に換装済みだ。「18R-C型からの載せ替えは簡単かと思ってたんだけど、実際にはエンジンマウントとトランスミッションマウントを変えたり、それに冷却ファンが収まりきれなかったので電動ファンに換えたりと大変だった」。そのためか、リザーバータンクやイグニッションコイル、ウオッシャータンクなどの場所が移動してあった。ちなみに18R-C型とは、他州より厳しかったカリフォルニア州の排ガス基準に適合するように調整されたエンジンである。

       
アメリカの庶民にとって、ピックアップトラックを所有することは、ひとつの自慢のネタでもある。日本の商用車感覚とは別の価値が存在している。ニッポン旧車とのかかわりを持っていたオーナーが、とあるきっかけと妻のひとことで緑色のトヨタ・ハイラックスと出合った。プロメカニックの経験を生かしてレストアを開始。実際に使えるトラックに仕上げたのだった。

【1974年式 トヨタ ハイラックス Vol.4】

【3】から続く

 ハイラックスの登場はアメリカでダットサン520が大人気の中でのことだ。ダットサンに対抗するためトヨタが取った方法は、乗用車に劣らないラグジュアリー感。このコンセプトは後のハイラックスまで一貫する。
 1972年、ハイラックスは2代目となって同年登場のダットサン620と真っ向対決。1978年に3代目へ進化すると翌年には4WDを追加。ここでダットサンが、一歩遅れをとった。4WDを揃えたのは1980年の720系になってからだった。

 世の中は楽しみを求める時代になっていた。ピックアップトラックはレジャー用途の色合いが濃くなり、4WDは新たなユーザー層にアピールした。象徴的にも1985年のハリウッド映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」に映ったのはダットサンではなく、堂々とした4代目ハイラックスの姿だった。

 トヨタのウェブサイト「トヨタ自動車75年史車両系統図」では、当時のカタログを閲覧できるようになっている。ハイラックスの項をみると2代目までは「商売用途」のみをアピールしているが、3代目では唐突に「カリフォルニア育ち」のハイラックスカリフォルニアと名乗っている。4代目のうたい文句は「フリースタイル」。まるで英文カタログと見間違うような表紙だ。ピックアップの新たなあり方を提案し続け、時代をリードしたトヨタ・ハイラックス。カタログを見ると時代の変遷を改めて感じることができる。


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たわみ継手(ゴムカップリング)にリサーキュレーティングボールを使ったステアリングも先代ハイラックスと同じ方式。路面からの反動を抑える目的の選択。エキゾーストはシューベルトさんカスタム品の4-into-1に変えてあった。



初出:ノスタルジックヒーロー 2017年6月号 vol.181
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1974年式 トヨタ ハイラックス(全5記事)

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text : Rino Creative/リノクリエイティブ photo : ISAO YATSUI/谷井 功

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