タービンは三菱重工製TC05の「純血ターボ」。2年間しか生産されなかった、希少な前期型|1982年式 三菱 ランサー EX 1800 GSRターボ

ボディサイズは先代までのカローラ(アクシオなど)よりひと回り小さく、非常にコンパクト。車両重量も約1トンと軽量のため、走りはじつに軽快だ。なお、フェンダーミラーは当時の雰囲気を楽しむオーナーのこだわりだという。

       
4ドアセダンタイプで、一見おとなしい外観。そんな見た目に騙される事なかれ。その心臓部にはスポーツカー顔負けの高性能エンジンが搭載されている。そんなスポーツセダンたちの勇姿をここに紹介しよう。

【1982年式 三菱 ランサー EX 1800 GSRターボ Vol.3】

【2】から続く

 こうして、スポーツセダンとしてのハイパフォーマンスを手に入れたランタボだが、1983年にはマイナーチェンジを実施。大型エアダム一体のフロントバンパーがエクステリア上の特徴となったが、見どころはなんと言ってもエンジン。G62B型には空冷式インタークーラーが装着され、最高出力は一気に160psまでアップ(インタークーラーなしの「GSLターボ」は135ps)。サスペンションはさらに熟成され、オプションでスプリングレートとダンパー減衰力を高めたハードサスペンションも設定。加えて、ブレーキは前後ベンチレーテッドディスクとなり、ハイグリップタイヤ(ヨコハマ・アドバンHF‐D)も採用されるなど、さらなる進化を遂げたのである。

 ちなみに、1981年デビューの国内仕様に先駆けて登場した欧州仕様は、2Lターボの4G63型を搭載。インタークーラー未装着ながら、最高出力170psを発揮していた。ただし、当時の排ガス規制に適合せず、国内で販売されることはなかった。

 今回取材した前期型は約2年しか生産されておらず、4年ほど販売されていた後期型に比べて新車販売台数は圧倒的に少ない。それに伴い、現存台数も極めて少ない状況だ。それゆえオーナーには、できる限りこのコンディションを維持してほしいものだ。


>>【画像17枚】オーナーがこのランタボのほかに所有し、抜群のコンディションを維持している平成3年式、走行距離8万5000kmのE39AギャランVR-4など


OWNER’S VOICE

 このランタボを新車で購入し、32年以上も所有しているオーナー。右のギャランを購入するとき下取りに出すことも考えたそうだが、「思ったほどの金額が提示されず、とりあえず手もとに置いておくことにしたんです」。その後しばらく乗らずに保管していたが、7年ほど前にリフレッシュして再び乗ることを決意。今では、売却しなくて良かったと心底感じているという。




グロス値ながら135psを発揮するG62B型ユニット。ECI(電子制御燃料噴射装置)をはじめとする三菱の最新技術が投入され、ハイパワーなだけでなく、優れた経済性や静粛性も実現した。





タービンは三菱重工製のTC05。同グループ内製のタービンということから「純血ターボ」と呼ばれた。


1982年式 三菱 ランサー EX 1800 GSRターボ(A175A)
SPECIFICATIONS 諸元
全長×全幅×全高(㎜) 4230×1620×1385
ホイールベース(㎜) 2440
トレッド前/後(㎜) 1360/1340
車両重量(㎏) 1025
エンジン型式 G62B型
エンジン種類 直列4気筒SOHCターボ
総排気量(cc) 1795
ボア×ストローク(㎜) 80.6×88.0
圧縮比 8.0:1
最高出力(ps/rpm) 135/5800
最大トルク(㎏-m/rpm) 20.0/3500
変速比 1速 3.740 / 2速 2.136 / 3速 1.360 / 4速 1.000 / 5速 0.856 / 後退 3.578
最終減速比 3.909
ステアリング ボールナット
サスペンション前/後 ストラット/4リンク
ブレーキ前/後 ベンチレーテッドディスク/ディスク
タイヤ 185/70R13(前後とも)
発売当時価格 149.2万円


初出:ハチマルヒーロー 2014年 11月号 vol.27(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1982年式 三菱 ランサー EX 1800 GSRターボ(全3記事)

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【1】【2】から続く

text : Rino Creative/リノクリエイティブ photo : MAKOTO INOUE/井上 誠

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