分解修理となったエンジンは、直すついでにアップグレード!|1967年式 日産 ブルーバード 1300DX

直線的ですっきりとスマートに見え、存在感や押し出しのあるデザインが日本市場ではずっと好まれてきた。

       
それほど旧車に興味があったわけではない。一度はAE86で思う存分楽しんだ時期もあったというが、気がつけばそれぞれの時代の現行車を乗り継いでいたというオーナー。
それがある日「旧車もなかなかいいなぁ」と気持ちが傾きはじめると、坂を転がり落ちるようにして急加速。「510は旧車の保守本流、それほどでも」という認識とは裏腹に「やっぱりカッコいい」という思いが募り、510探しに奔走することになったのだが……。

【1967年式 日産 ブルーバード 1300DX 〜2016〜 Vol.6】

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 外側に回ると、ローダウン仕様がやはり印象的だった。実際には、もっと低い仕様のときもあったというが、ワダチでフロアを擦ってしまい、これはさすがにマズイということになり、現在の車高に再調整したという。

 ビード部からサイドウオール真ん中あたりまで覆うホワイトリボンタイヤがうまく時代性を演出。オーナーいわく、スチールのワイドホイールを使いもう少しトレッド幅のあるワイドタイヤを履かせてみたいということだ。当時のツーリングカーレースを思わせる仕様としてうまい点を突いている。

 そして、きわめつけがエンジン。オリジナルのL13型が壊れ、分解整備が必要だったことも手伝い、どうせ直すならL16仕様にとシリンダーをボーリング。さすがと思わせたのは、すでにこの時点でSSS用のSUキャブとインテークマニホールドを持っていたことだ。とにかく使えそうなパーツを見つけたら入手しておくという、旧車乗りの鉄則を忠実に実行していたオーナーだった。


>>【画像18枚】いま見てもバランスのよいフォルムを持つ510ブルーバード。旧車市場で人気になるのは当然かもしれない。取材車両のローダウンされたサイドビューなど

 現状、なにか不満はありますか? の問いには、ブレーキの容量不足と答えてくれた。考えてもみれば、エンジンは1600SSS並みのパワーとなったにもかかわらず、ブレーキは13
00グレードのドラム仕様のまま。この問題はディスクブレーキの純正流用チューンで解決できるので、いずれ手を付けてみたいと話してくれた。

 旧車の楽しみ方は人それぞれ。定石があるようでないような、オリジナリティーの守り方も人によって微妙に異なるが、共通するのは皆さんクルマを大切にして楽しんでいるということだ。



走ることが大好き、走る楽しみが感じられなければクルマではないと主張するオーナー。最初は気にならなかった510ブルーバードがいつの間にか本命に。探し出して手に入れカスタマイズを加えて走りを満喫中だ。





タイヤエア圧のプレート上下に貼られたタイヤ管理のステッカー。上が昭和52(1977)年時のもので走行距離は3万9900km、下は平成10(1999)年時のもので走行距離は8万4400km。歴史の生き証人だ。


初出:ノスタルジックヒーロー 2016年 6月号 Vol.175(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1967年式 日産 ブルーバード 1300DX(全6記事)

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text & photo : AKIHIKO OUCHI/大内明彦

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