AE86で走りを堪能した若かりし頃、現行車は便利で快適だけど|1967年式 日産 ブルーバード 1300DX

3速コラムを操作するオーナーとシフトノブ談議となり、テコの原理でシフトノブはある程度重いほうが操作しやすいという結論に到達。かつてコラムシフトのタクシーがシフトノブを代えていた例が多かったのはこのためだろう。オーナー、リズムよく操作を行っていた。

       
それほど旧車に興味があったわけではない。一度はAE86で思う存分楽しんだ時期もあったというが、気がつけばそれぞれの時代の現行車を乗り継いでいたというオーナー。
それがある日「旧車もなかなかいいなぁ」と気持ちが傾きはじめると、坂を転がり落ちるようにして急加速。「510は旧車の保守本流、それほどでも」という認識とは裏腹に「やっぱりカッコいい」という思いが募り、510探しに奔走することになったのだが……。

【1967年式 日産 ブルーバード 1300DX 〜2016〜 Vol.1】

 510ブルーバードのオーナーは37歳。「いままでこの企画(旧車生活へのいざない)に登場された方々より少し上になりますか」と照れたような表情を浮かべながら愛車歴を語り始めてくれた。

 もともとクルマで走ることは大好きで、AE86を手に入れ改造を加えて走っていた時代があったという。オーナーのひそかな自慢は、イニシャルDがブームになる前に86で走っていたということだろうか。86が持つ走りの本質は、自分の目でしっかりと見抜いていましたよ、ということだ。

 そのオーナーが選んだ旧車は1967年式のブルーバード。これまでこの企画に登場してくれた方々と同じように、時々の現行車を乗り継いでいたのだが、なにかしっくりくるものがなく、気がついたら旧車に目が向いていた、という旧車ファンのひとりである。
「移動の道具として見たら、新しいクルマは安全だし、燃費もいいし、快適だし、すごくいいと思いますが、趣味の対象として見たらまったく興味がわきません。おもしろくないんですよ」
 お気に入りの86だったが、しかしいろいろなところが壊れて出費がかさむようになり、さすがに持ちきれなくなって泣く泣く手放すことに。


>>【画像18枚】目下の課題はキャブ調整。うまく出来るようになれば走りが楽しくなる。最初は何も知らなかったが旧車と付き合う中でメカニズムやメンテナンス術を覚えたオーナーなど




スーパーソニックラインと呼ばれた直線基調のボディフォルム。歴史的に日本市場は直線を好み丸を嫌う傾向にあった。丸い410系、角のとれた610系は不振、直線基調の510、910は評判がよかった。すっきりとスマートに見え、存在感や押し出しのあるデザインが日本市場ではずっと好まれてきた。形としてのまとまり、あるいは形のよさはあってもラウンドフォルムは受け容れられないという不幸な運命にあった。


【2】に続く

初出:ノスタルジックヒーロー 2016年 6月号 Vol.175(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1967年式 日産 ブルーバード 1300DX(全6記事)

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text & photo : AKIHIKO OUCHI/大内明彦

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